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第55話

【第2章】信じられない~鳥羽綾乃side
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2019/09/30 19:05
大滝祐樹
先輩、行きましょ。
鳥羽綾乃
え、あ、いいの?
大滝祐樹
いいんですよ、こんなやつ。
憎しみを込めたような声。

私は何処か悲しくなってしまう。
なんでなのかな。
不破 海
待てよ、祐樹!!
私の彼氏だと名乗る謎の彼の声を聞かずに、祐樹くんは私の腕を引っ張った。
なんなの…かな。
わかんない、わかんないけど彼のことを私は知ってる。
きっと…いや絶対知ってるよ。


だけど、


だけど。
鳥羽綾乃
何一つ思い出せないよ。
大滝祐樹
え?
口に出た言葉は祐樹くんに届いてしまった。
自然に出た涙の意味がわからない。


自分の存在はなんなのかわからない。



きっと、美空ちゃんが言っていたことは確かなこと。
美空ちゃんの人違いじゃ無いんだと思うよ?


だけど。
******

~不破海side

なんでなんだ。
なんであんな奴と、先輩が。
わけわからなそうにしていた先輩は嘘をついてないように見えてしまった。

信じたいだけかもしれないけど、そうだと思う。



本当に俺のことを知らないんだろうな。
忘れたのかなんなのか。


突如消えた先輩とともに、あの学校は…先輩のクラスは負のオーラを纏うようになってしまった。


沙月が何かをしたのも知っている。





けど、先輩。












俺を見捨てるなんて。





そっちの方がよっぽど罪深いよ。












前原七瀬を追い込んだことよりもね。

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