あなたside
呪霊と呼ばれるものの上に乗って、
飛んで移動する。
人生初体験。
飛ぶ、Fly!
下を覗き込んでいると引き止められて後ろに下がった。
ギュッと傑の服の裾をつかみながら、
下を見る。
傑が色んなことを教えてくれた。
呪術師の事、呪詛師の事、呪霊の事、術式の事…
本当は、私はこっち側に居て、
向こうの人達に騙されていたこと。
傑の夢の事も。
私は聞いていて悲しくなった。
こんなに優しい人が、人を殺そうと思ってるんだって。
けど、
この人は無い物ねだりしてるんだなって。
夢を見てるんだなって。
そう思った。
ありもしない物に手を伸ばしてるのかもしれない。
その糸を辿っても何も無いかもしれない。
けど、夢を見るのは……その人の勝手だから。
夢くらい、見たいもん。
信じてたもん、私も。
鬼が居なくなる世界を、信じて、託されて、引き継いで、託して……
そうすれば、きっとできる。
簡単には手に入らない。
けれど、
そのおかげで大切な人の未来が明るくなる。
皆の未来が。
ポウッと自分の頭に浮かんだのは、
呪術高専の皆と過ごしたんだろう日々。
…何の記憶だろう。
傑に言われて我に返る。
,
,
グイッ
後ろに思い切り引かれた。
傑さんじゃない。
別の気配。人間じゃない気配。
いや早っ。
凄い速さで走られる。
無一郎くんと同じくらい早い。
…えっと、
どうしよう…
___次回もよろしくお願いします!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。