突然現れたあなたに目を丸くした。
どこ行ってたの?
呪霊に何もされてない?
逃げてきたの?
本当にあなた?
言いたいことがいっぱいあるが、驚きすぎて言葉が出なかった。
口をパクパクさせていると、
そう言って聞き直してくる。
やっと絞り出した声もあやふやだ。
けど、それでも理解はしてくれた。
衝撃の事実がポンポン出てきて
悟くんパニック。
目を丸くしてみていると、僕の目…いや、顔か?を見て「綺麗ですね」とつぶやくかあなた
思わず、
いつも通りのノリでそう返すが、
なんて返される。
辛い。
あなたのこんな表情を初めて見た。
キラキラとした目で、興味を示す顔で。
何にも興味を示さないあなたが。
初めて言われた。
顔とか、そういうものが整ってるならよく言われる。
まぁ、主に女子からだけど。
綺麗だなんて何千回も言われたし、
かっこいいとかも言われた。
けどあなたはそんなんじゃなくて、「感動した」と言った。
綺麗だから、感動?
よく分からないけど、あなたが興味を示してくれたという事が凄く大切なことだってのはわかった。
袋の中から取り出したそれには、
純米大吟醸酒
酒だ。
だいぶ高いやつ。
一体どこで買ってきたんだか。
未成年のくせに。
フワッと蝶の羽のような羽織りが動く。
月の下を歩くあなたに、
思わずついて行った。
____次回もよろしくお願いします!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!