第73話

漆拾弐
19,830
2021/02/13 13:43
大瀬良あなた
…早く行こ……





私を抱えている呪霊に

私の呪力を与えて身体能力をもっと上げた。






伏黒恵
伏黒恵
(また早くなった…!!)
真人
真人
((  ' ³ '  )ヒユー)







速く逃げよう。

皆がいないとこへ。






悲しくならないとこ。













胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
あーあ!
しくじっちゃったなぁ〜!












カナエ姉さんが大声でそう言った。

思わず姉さんの方を見た。







胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
私は死んだらダメだったのになぁ〜。
あなたに背負わせちゃった。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
「鬼殺隊をやめなさい」なんて、
しのぶにも言っちゃったけど
辞めるわけないわよね。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
私の妹達なんだもの。
私が1番よく分かってるわ。







顔を背けたまま、声だけ聞く。








胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
どっちも頑固で、
頑張り屋さんで、絶対諦めないのよ。
2人とも、姉さんの自慢だわぁ。





私は、姉さんが自慢だったのに。






胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
上弦の弐……ここまで来ちゃったね。
凄いね2人とも。頑張ったんだね。
いっぱいいっぱい。






そう、凄く頑張ったんだよ。






胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
痛いよね、もういいよ。
辛いよね、もういいよ。
もういいよって、言ってあげたい。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
よく頑張ったねって、
抱きしめてあげたい
大瀬良あなた
ッ…





……そうして…欲しかったの……






胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
でもできない。
出来ない道を選んだの。
胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
幸せを見せては奪う。
そんな世界に生まれてきたの。







グッと奥歯を噛み締めた。







胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
______あなたも、







呪霊は足をとめた。






胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
私も______。







バッ







大瀬良あなた
!?






呪霊が私を投げる。

姉さんの方に。







胡蝶カナエ
胡蝶カナエ






フワッ




姉さんの香りが鼻を掠めて、

姉さんは私を抱きとめた。










驚いた私も、姉さんも、呪霊の方を見て……









真人
真人
俺は1度、君に殺されかけてる。
真人
真人
それでも君を憎めないのは多分、
何かあるからなんだよね
真人
真人
今こうしたのも、その何かのせい。
真人
真人
仲直りしなよ。
その後ならいくらでも、奪いに行くから








呪霊はそう言うと走っていった


ただただ、呆然とその背中を見て、眺めて……











ギュゥッ







キツく抱きしめられたその力と、

感じる温もりに、目からひたすら涙がこぼれる。








胡蝶カナエ
胡蝶カナエ
もう、あなたって子は……ほんとにっ、
本当に………なんて、寂しんぼうなの…。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
ごめん…、ごめんなさい姉さん…。
姉さんの悲しみを、
一緒に負担しきれなくて…っ。
ごめん…!!
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
あ、あの時……泣けなくて…、
ずっと、ちゃんと笑えなくて…
ごめん、なさい…っ。






久しぶりに、4人揃って

こうやってあたたかみを感じられた。







大瀬良あなた
っ……う、うぅ…
ごめんなさい…!!
ごめんなさいっ!
大瀬良あなた
守りたかったのに…、
カナヲ1人にもしたくなかったのに…!!
怒ってごめんなさい!
姉さんの言ってたこと、ひとつ出来なくて…!
大瀬良あなた
しのぶに、気を使わせて……
姉さん…失格……だ……。








姉さんの服を掴んで、

泣いて叫んで、皆の目も気にせずに。






大瀬良あなた
助けてくれてありがとう…、
あの時、ご飯を、優しさをくれて、
ありがとう…!!
大瀬良あなた
けど…、けど、
私は、皆に………生きてて欲しかったの






姉さんだけじゃない。

鬼殺隊の、隊士も、御館様も、

柱のみんなも、玄弥だって。









生きてて欲しかったの。









___次回もよろしくお願いします!

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