あなたside
ドサッ
地面に尻もちを着いた。
咄嗟に私の腕を掴んでいるそいつから離れて刀を構えて戦闘態勢に入る。
当の本人はそう言って笑っている。
触られた。
大丈夫かな。
虎杖くん達からコイツの話は聞いていた。
魂に触れて魂の形状を操作することで
対象の肉体を形状と質量を無視して思うがままに変形・改造できる。
今、私は触られた。
何秒触られたか分からない。
けど、がっちりと両腕を掴まれた。
どうしよう、これ……………落ち着こう。
感情の制御が出来ないのは未熟者。
フッ
距離を詰めようと足に力をいれた瞬間、
,
思わず動きを止めた。
何言ってるんだろうコイツ。
ならなんで私をここに連れてきたんだろうコイツ。
それに私は言った。
次会ったら祓うと。
虎杖くんが1度死んで以来、辞めなかった鍛錬。
おかげで私の強さは格段に上がった。
今なら童磨くらいは1人で倒せるほどに。
その身体能力に加えてこの呪力。
私はもうだいぶ強いと、自分でも分かる。
そう言って刀を構えた。
戯けたことを。
と言おうとした時だ。
霊…?
そう言って後ろを振り返る。
誰もいない。
気配もない。
何もいない。
パッと手を挙げて降参のポーズを見せる真人。
だから、私は触られても何も起きない。
…騙されるな、嘘かもしれない。
第1、本人の私が見えてないのに、霊なんて…
真人が言う特徴の人達を、
私は全員知っている。
私は誰にも話してない。
大正時代の戦友の話を、誰にもしてない。
これは嘘の話では無い。
そう思った。
____次回もよろしくお願いします!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!