第54話

伍拾参
29,285
2021/01/11 07:30
あなたside




ドサッ




地面に尻もちを着いた。

咄嗟に私の腕を掴んでいるそいつから離れて刀を構えて戦闘態勢に入る。




真人
真人
早い早い!
ここに来てから構えるまで今の何秒?



当の本人はそう言って笑っている。




触られた。

大丈夫かな。





虎杖くん達からコイツの話は聞いていた。

魂に触れて魂の形状を操作することで

対象の肉体を形状と質量を無視して思うがままに変形・改造できる。





今、私は触られた。




何秒触られたか分からない。



けど、がっちりと両腕を掴まれた。






どうしよう、これ……………落ち着こう。







感情の制御が出来ないのは未熟者。








フッ





真人
真人
精神力やばいね(笑)
一瞬で動揺を抑えるなんて、
1級術師でも難しいと思うけど
大瀬良あなた
どうもありがとうございます。



距離を詰めようと足に力をいれた瞬間、




真人
真人
戦う気は無いよ。










大瀬良あなた
…は?







思わず動きを止めた。



何言ってるんだろうコイツ。

ならなんで私をここに連れてきたんだろうコイツ。




大瀬良あなた
今、仲間が戦ってます。
特級レベルが何体もいます。
お話をする時間なら無いんですが




それに私は言った。




次会ったら祓うと。






虎杖くんが1度死んで以来、辞めなかった鍛錬。

おかげで私の強さは格段に上がった。




今なら童磨くらいは1人で倒せるほどに。




その身体能力に加えてこの呪力。




私はもうだいぶ強いと、自分でも分かる。





真人
真人
前にも言ったでしょ?
俺は君を勧誘してるんだ。
仲間に誘ってるんだ
真人
真人
君にも悪い話じゃないのも分かってる。
俺は呪術師の君の仲間より、
よっぽど君を理解してるよ
大瀬良あなた
私をどれだけ理解してるなんて
関係ないです。
私は居たい所に行きます




そう言って刀を構えた。




真人
真人
君は本当に分かってないな。
大瀬良あなた
…なんの事ですか
真人
真人
君はね、
君が思っている以上に強いんだよ
大瀬良あなた
何を



戯けたことを。




と言おうとした時だ。





真人
真人
後ろにいる霊に気づかないの?
大瀬良あなた
…え?



霊…?




そう言って後ろを振り返る。

誰もいない。




気配もない。





何もいない。




真人
真人
君の後ろにはね、凄い沢山の霊がいる。
悪い事をするような奴らじゃなくて
君を守ってる感じ。
真人
真人
おかげで俺は、



パッと手を挙げて降参のポーズを見せる真人。




真人
真人
君の魂には触れられない




だから、私は触られても何も起きない。





…騙されるな、嘘かもしれない。

第1、本人の私が見えてないのに、霊なんて…




真人
真人
えー、信じてないの?
いっぱいいるよ?ホントだよ?
毛先が紫色の髪に君と同じような羽織りを着てる人とか、同じ羽織りに髪の長い人とか…
真人
真人
身長馬鹿でかい奴もいるね。
数珠つけてる。
半分半分違う羽織りの人に〜、
毛先が水色の髪の長い男の子?女の子?
わかんない。
蛇つけてる人と、金髪と、派手な人と
んー、とにかく、
真人
真人
個性的な人達がいっぱいいる




真人が言う特徴の人達を、

私は全員知っている。




私は誰にも話してない。




大正時代の戦友の話を、誰にもしてない。





真人
真人
君以外の皆全員気づいてるけど?




これは嘘の話では無い。


そう思った。





____次回もよろしくお願いします!

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