キーンッッッ
刀が折られて、びっくりして後ろをむく。
そこに居たのは
誰、だろう…
折れた刀を膝においてそう言う。
誰だろう。
記憶があった時、どういう関係だったのかな。
付け足してそう言うと、
その人はニコリと笑った。
出された手を握って「よろしくね」と笑う。
白い着物に、刀。
こんなの、誤魔化しようがないよね。
私の言葉を傑くんは真剣に聞いてくれる。
ギュッと着物を握りしめた。
ポタポタと着物に涙が落ちていた。
不規則に、静かに、それは落ちていく。
何も出来なかったこんな役立たず、
今まで生きていただけでも奇跡なんだ。
傑くんは、私の頭を撫でた。
優しいその言葉が、
心の中に落ちていく。
その優しさが心に波紋を打つように広がる。
傑くんは、顎に手を置いて考えた。
そして、
おちる
落ちる
堕ちる
誘拐…?
そうなの?
手を引っ張られて地面に足をつけて立つ。
そのまま引っ張られて、
呪霊、というものがいる場所まで来た。
傑くんはそれに乗ると、
私に手を伸ばしてくる。
そう言うと、少し目を見開いた傑くんが
小さく笑う。
またもや引っ張られて呪霊の上に乗った。
呪霊は動き出して、どこかへ飛んでいく。
そう聞いた。
ニッコリと笑ったその顔が、
少し恐ろしく見えた。
……そう、……なの?
___次回もよろしくお願いします!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。