第20話

拾玖
40,278
2021/01/06 14:03


ゴフッ




小娘が口から血を吐き出した





まぁ無理もないだろうな。





頭を強く打ち、出血していたというのに、肋骨まで何本か折れてる。




立っているのが不思議なくらいだ。




しかも喋れると。






活きがよすぎるな。






大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
…虎杖くんに、身体を返してください。
それは貴方の身体じゃない…
宿儺
喋らん方がいいと思うぞ。
お前は相当重症なはずだ。
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
私の事は何とでも言ってください。
早く虎杖くんを返してください。
宿儺
少しは自分の心配をすればいいものを。
この小僧がそんなに気入ったのか?
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
彼は私の友人であり、後輩です。
若い芽は摘ませません。
後輩を守るのは先輩として当然の事です



その怪我でよくもそこまで喋れるな。




この女、本当に人間か?




宿儺
若い芽…か。
お前も小僧も同じだろう。
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
私には価値基準があります。
仲間は、その上位に入ります。
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
虎杖くんも同じであり、
私の命より大切なものです
私より価値があるんです。



凛々しい目付きでこちらを睨む小娘。




ふむ、と顎に手を添えて考えた。








コイツ、俺が今まであったことの無い奴だな。



己の命より他を優先させ、己の命を惜しまず、俺に反抗する女とは…




それにしても、人間から感じるものとは少し違うところもある。






そうか、





宿儺
お前、時代を越えたな?
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
…。



俺の言葉に少し眉を寄せた。



あたりか。




宿儺
おぉ。



突然切りかかってくるものだから、思わず避けた。



動かぬ方がいいものを…




大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
天の呼吸  弍の型 伊舎那天いしゃなてん




勢いよく回転して切りかかってきた。



ピシッと少し掠る。





…ほう。






しかし、人間の体とは全く弱いものだ。




大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
ゲホッ、ガハッ…ゴホッ…う''っ…



酷く咳き込み、血を吐く小娘。




宿儺
動くなと言っているのに
動くからそうなるのだ
大瀬良(なまえ)
大瀬良あなた
…うる、さいです…
早く、虎杖くんに、身体を…



パタっ





…死んだか?







ツンっと倒れた小娘の頭をつつく。




宿儺
なんだ、気絶か。




面白くないな。




でもまぁ面白いのを見つけたと言ったら見つけた。




この娘は面白い。生かしておく価値はある。






死なれたら困るので、

とりあえず瓦礫などがない床に寝かせ、

来ていた上着をかけてから建物内から出た。






…伏黒恵を探すか









____次回もよろしくお願いします!



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