第6話

50,988
2021/01/05 08:36
大瀬良あなた
……できた



自室でやっと作り終わった試験官の中にある液体を持ち上げてそうつぶやく。




これなら2級までは殺せる。





どれくらいの量で殺せるのか試さないといけないな。





4級捕まえてくるか…





















伏黒恵
伏黒恵
呪霊飼うのか
大瀬良あなた
あ、いえ。
そういう訳ではありませんよ。


捕まえてきた4級くらいの呪霊6体。


苦労した。





封印が施された小さな牢屋っぽいものに呪霊を入れる。



虫カゴならぬ、呪霊カゴ?




伏黒恵
伏黒恵
こんなの何に使うんだ…
ていうか祓わないといけねぇだろ
大瀬良あなた
いやぁ…これを使って毒の実験体にさせてもらおうと思いまして…
伏黒恵
伏黒恵
毒?
大瀬良あなた
これなんですけど。



そう言って栓をした試験官に入っている毒を見せる。



振るとチャプチャプと音がした。





大瀬良あなた
彼岸花で作った毒なんですけど…
2級程度なら倒せるんです。
けど、どれくらいの量がいるのか
実験にしないといけないので…
大瀬良あなた
この方達は実験体ですね!^^*




テッテレーとドラえ〇ん風に見せる。




そんな怯えた顔しないでくださいよ。
別に人間に使うわけじゃありませんし




伏黒恵
伏黒恵
…見てもいいか?
大瀬良あなた
?いいですよ。 
毒に興味がおありですか?
伏黒恵
伏黒恵
…そういう訳では無いが、
毒で本当に祓えるのか見てみたい



真剣な眼差しでそう言われたものだから、



大瀬良あなた
クスッいいですよ、
私のお部屋へどうぞ。



そう言って手招きしてドアを開けた。



















伏黒恵
伏黒恵
だいぶ苦しそうだったな
大瀬良あなた
毒ですからね。仕方ないですよ。
即死させられる毒も、
そのうち作るつもりなんですけどね。
大瀬良あなた
何より可哀想ですし。





そう言って毒で殺してしまった4級6匹に、


手を合わせて目を閉じる。






大瀬良あなた
…次は生き物に生まれ変われますように……。



ある程度祈ったあとで、目を開けると、



伏黒恵くんがこちらを驚いた様な顔で見ていた。




伏黒恵
伏黒恵
…呪霊に情けをかけるのか?



有り得ないという顔をする伏黒恵。



…普通ならそういう反応しますよね。








でもね、伏黒恵くん。



大瀬良あなた
呪霊は元々、
人の思いから生まれたものです。
魂自体は呪霊ではありません。
大瀬良あなた
つまり、魂に罪は無いのです
可哀想な命なんですよ
大瀬良あなた
だから、こうやって手を合わせています。
次は生き物にその命が宿れる事を祈って。




消えてもう跡形も無くなってしまった、呪霊がいたその場をサラリと撫でる




大瀬良あなた
伏黒恵くんも……そう思いませんか?




眉を下げてそう聞くと、





伏黒恵
伏黒恵
…そういう視点では、
そうなのかもしれないな。



少しは理解してくれたのだ。



驚いた。






鬼に情けをかけた時は、ほとんどの人が哀れみの目で見てきたのに。





大瀬良あなた
んぐっ…



思わず見つめていると、鼻をつままれた。




伏黒恵
伏黒恵
あと、フルネーム辞めろ。
距離感あるのが嫌とか言ったくせに、
お前から距離作ってんじゃねぇか。



鼻から手を離してくれて、鼻をさすりながら「あー」と言う。




大瀬良あなた
じゃぁ、恵くんで。
伏黒恵
伏黒恵
…あぁ。
伏黒恵
伏黒恵
あ、敬語も。
大瀬良あなた
え、それは癖みたいなもので…
伏黒恵
伏黒恵
じゃぁ今すぐじゃなくていいから
いつか敬語も辞めろ
大瀬良あなた
あ、まぁ…それなら…
 


これで少し、距離が縮んだかな…?






















その後、自分の部屋に戻った恵くんは…



伏黒恵
伏黒恵
…よし。


ガッツポーズをかましていた。









__次回もよろしくお願いします!


プリ小説オーディオドラマ