美樹に指摘されトイレまで急ぐ
鏡の前に映る自分を見て驚愕する。涙のせいでマスカラが落ち、目元が黒く染まっている
素早くメイクを直し、トイレを出る。
ガラガラッ
教室を開けるとそこには誰もいなかった
静まり返る教室。ここにいるのは聖奈だけ。
ゆっくりと歩きさっきまでみんなと話していた席に座る
今まで騒がしかったものが急に静かになると寂しんなるもの。
取り残されたかのような感覚に耐えきれずまた、涙を溢れさせてしまう
ふと、前に視線を上げると黒板が見えた
黒板全体に書かれた
〝机の中見ろ〟
という荒々しい文字
机の中に手を入れた。手に当たったものは1枚の手紙
聖奈へ
いつも俺たちのことを優先してくれてありがとう。聖奈は優しすぎるから色々と気をつけろよ!聖奈の笑顔を見てるとなんていうか、そのー、癒されるんだよ!マジで!友達思いな聖奈は本当に素敵だと思うよ。高校卒業なんて言葉だけ!これからも関係は変わらないし一生のもんだからな!
音楽室、ピアノの上
奏太より
私は勢いよく教室を飛び出し上の階にある音楽室まで走った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。