第15話

何回も強がったって【じんsaid】
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2018/05/05 11:38
またあの女の子と喋ってる。

あの女の子になりたいな…なんて考える俺がいた。
テオくんを見るたび好きが増して、
やっぱり諦められない人だった。
そして教室にいるテオくんから俺の名前を呼んだ。
テオ
あ!じんたん!
大好きな人から呼ばれた。
その瞬間俺の心はドキドキと嬉しみで満ちていた。
じん
ん?
テオ
今日さ!一緒に帰ろうぜ!!
じん
あ、うん…いいよ!
俺はどこかでためらった。
あの女の子と帰ればいいのに……、
強がったってその分悲しくなるだけなのに。




ーそして放課後
テオ
じーんたん!
じん
あ、テオくん!
俺はテオくんがいる方へ小走りで行った。
この時間、この瞬間がどんなに嬉しいことか。
でもこの嬉しさはテオくんに伝わらない。


帰り道になりテオくんは真剣な表情で俺に相談をしてきた。
テオ
なぁ…じんたん
じん
ん?どうしたの?
テオくんは下を向きながら俺に問いかけてきた。
テオ
俺、実は入学式の時…
テオ
女の子に告白されたんだ
じん
…え?
告白…?女の子に…?

女の子ってきっとあの子かな。
聞いてみよ
じん
女の子ってあのいつも仲良くしてる子?
テオ
え、あ、うん…
じん
あぁ…そっか…、
テオ
でもまだ返事はしてないんだよね
じん
え?!
俺はこの時まだ自分にもチャンスがあるとバカな考えをした。

でも、こんなこと考えても同性。やっぱりチャンスなんてない。


だから俺は、
じん
あの子と付き合っちゃえば?
また強がった。
強がったってまた泣くくせに。

この想いが届かないなら、もう諦めてしまおうという考えに陥った言葉だった。
テオ
……えっ?
テオくんは少し驚いた顔で俺を見た。
テオ
…で、でも…
じん
お似合いだと思うよ
じん
あの子も喜ぶだろうし…
テオくんは何か言いたげだったけど俺はテオくんの言葉を遮った。
テオ
………
テオ
じんたんがそれでいいなら……
テオくんは下を向き目を逸らしながら言った。



強がれば強がるほど弱くなっていく俺。

泣き虫なのに人の前では意地を張って、
こんな内気な性格の自分が大嫌いだった。

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