またあの女の子と喋ってる。
あの女の子になりたいな…なんて考える俺がいた。
テオくんを見るたび好きが増して、
やっぱり諦められない人だった。
そして教室にいるテオくんから俺の名前を呼んだ。
大好きな人から呼ばれた。
その瞬間俺の心はドキドキと嬉しみで満ちていた。
俺はどこかでためらった。
あの女の子と帰ればいいのに……、
強がったってその分悲しくなるだけなのに。
ーそして放課後
俺はテオくんがいる方へ小走りで行った。
この時間、この瞬間がどんなに嬉しいことか。
でもこの嬉しさはテオくんに伝わらない。
帰り道になりテオくんは真剣な表情で俺に相談をしてきた。
テオくんは下を向きながら俺に問いかけてきた。
告白…?女の子に…?
女の子ってきっとあの子かな。
聞いてみよ
俺はこの時まだ自分にもチャンスがあるとバカな考えをした。
でも、こんなこと考えても同性。やっぱりチャンスなんてない。
だから俺は、
また強がった。
強がったってまた泣くくせに。
この想いが届かないなら、もう諦めてしまおうという考えに陥った言葉だった。
テオくんは少し驚いた顔で俺を見た。
テオくんは何か言いたげだったけど俺はテオくんの言葉を遮った。
テオくんは下を向き目を逸らしながら言った。
強がれば強がるほど弱くなっていく俺。
泣き虫なのに人の前では意地を張って、
こんな内気な性格の自分が大嫌いだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。