ゲームどころでは無かった。
彼女に対する、憎み、疑問、恨み、様々な感情が2人に廻る。
対して双子は壊れた様に狂い笑っている。
まるで悪戯に成功した子供かの様に。でも、その笑顔には隠れた別の感情もある様な気がした。
急にスン、と彼女は言った。
悲しそうな笑顔が深くなった。
季の家庭は、異常だった。
彼女の両親は、彼女に感情を求めなかった。
そのせいで、彼女は感情を失った。
そして、恨んだ。
自分から、感情を消した両親を。
そして、彼女が初めて覚えた感情は『殺意』
『もっと人を殺せば、もっと感情を知れるんじゃないの?』
何も言えない。
季のやった事は、異常だ。それは、間違いない。
でも、ソレも全て、彼女の辛い過去から生まれた。
感情を持つ自分達には、理解不能だった。
蓮の殺意、季が初めて感じた感情を向けたのは、彼女では無かった。
彼女のデスゲームで、賭けをした富豪だった。
蓮は、先までの絶望顔を消し、悪戯っ子の様なニヤリとした笑顔で言った。
『幸運の神は誰にも微笑まないって事を』
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!