一人窓際で夜空を横目に、囲碁を打つ彼こそ、
神城財閥の主だ。
あっ自己紹介ね。御波です。
訳あって神城家使用人。
そして、溺愛されてるお嬢の護衛で執事でもある。
はぁぁ。やっと仕事終わったよ。
と、俺は自分の部屋に入り、ジャケットを脱ぐ。
一息ついて、喉が渇いたのに気付く。
飲み物でも貰いに行くか。
ここの神城家の家は、日本一と称される、
大きな家だ。
まぁ、移動とか超めんどくさいんだけどね。
俺の部屋は、キッチン、まぁ調理場から近くて、
飲み物貰いに行くには良い部屋だ。
まぁ、最初の頃は和室とか慣れなかったんだけど、
暮らしてく内に慣れたな。
………誰か居るな。
そこの曲がり角か。
何となく気配を感じた。殴るか。
恐る恐る近付いていくと、
デカイ身体の知ってる男が俺を目掛け飛んでくる。
俺はそれをスレスレで避け、そいつは、
顔面から廊下の木の板に突っ込む。
と、もう絵に描いた様な元気さ。
あ、やっと飲み物飲めるわ。
ビール…は明日は休みじゃねーし、止めとこう。
と、俺が調理室に入ると。そこには、
そう、天使の様に微笑むのは、
あの主に溺愛されている、神城未来乃だ。
そして、俺の主人。
なんでわざわざこんな少女の御守り…
執事とか柄じゃないけどなー。
ここが飯付きで、家付きで、給料出るし、
仕方なくやったらこの有様。
よく試験受かったなオレ。
物凄く分かっていない顔で言われても、
説得力の欠片がない。
少し嬉しそうな表情をして、俺は彼女を部屋へ送り届けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。