《スンミンside》
あれから、また1ヶ月。
あなたと少しずつ連絡を取ってる。
でも、まだ会うのは少し先かな……。そろそろ約束を取り付けてもいいと思うけど。
図書館にも行ってないから偶然にも会えない。顔も見てない。
一応、ちゃんと寝てご飯食べてるかとかは聞いてるけど電話でしか聞いてないから顔色見れなくて……。忙しくてなかなかテレビ電話もできない。
人の噂も七十五日。
きっともうみんな忘れかけている。
今日も届くたくさんのファンレター。本当にありがたい。こうやって俺達がステージに立てているのは確実にファンのおかげだ。
……だからこそ、あなたのことを隠すのは気が引けた。あなたにもステイにも正直でいたい。
でも、それは混乱を招くことになる。
あの場ではアレが正解だったんだ。
ファンレターを開封して、読んでいく。
本当に可愛らしいファン達だ。感謝してもしきれない。
ファンレターの中に、ちょっと変わったファンレターが入ってる。
「いつもスンミンくんの歌声で寝てます。わたしの不眠症が治りました。本当にありがとう。
これをあげたくて今回はファンレターを送りました。もし、よかったら使ってください。」
そこには、ゴデニアが押し花にされた栞だった。
「花言葉は、「変わらぬ愛」「お慕いいたします」です。」
あの時、あなたがそういったのはゴデニアの花だった。可愛らしい見た目の花だけど、変わった名前だからよく覚えている。
あの日見た、あなたが好きだと言ったミニバラと同じ薄ピンクの台紙に、鮮やかなピンクのゴデニアの押し花。
「スンミンくん、大好きです。ずっと待ってます。」
手紙のどこにも名前は書いてないけど、あなただって分かる。
手紙の一番下に愛のメッセージが綴られているのを見て、俺は事務所を飛び出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。