《あなたside》
あれから何日も経った。
スンミンくんから、一日に何回か着信が来てショートメールも何度か来てるけど全て無視してる。
大人気ないことなんて分かってる。
あの時2人とも酔ってたし……。酔ってたから、尚更「無かったこと」にしたほうがいい。あの出来事は忘れればいい。
でも、スンミンくんのこと好きだから許せなかった。
会って話せばいいんだけど……。会いたくなくて避けてる。
でも、今日は本の返却日。出くわすかもしれないけど、行かなければならない。
意を決して図書館に向かう。足早に、図書館のある通りを歩く。
目の前にスンミンくんを姿を捉えた。それだけで気まずいのに、隣には女の子。楽しそうに歩いている。
気づかれないように下を向いて通り過ぎた。
たった、ひとつのキスでずっと悩んでた自分が馬鹿らしくなったし、恥ずかしくなった。
たったひとつのキスでも私にとっては意味のあるキスだった。
分かってることだけど、スンミンくんには、なんてことないものだったのね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。