《あなたside》
図書館は好き。
静かだし、誰にも邪魔されないし。本の背表紙をただ追ってるだけで時間が過ぎるのも楽しい。あと、本の匂いも好き。
先に本を返却して、次に借りる本を選ぶ。
1冊だけだとすぐ読み切ってしまう。さっきのとほかの少し短い短編の小説でも借りようかな。
あ!!
そうそうこれこれ!昔読んでたけど、途中で読むの諦めたやつだ……。短編じゃないけど、これにしようかな。
だけど、高いところの棚にあるから今一生懸命背伸びしてる。
いつもは台があるんだけど、何故かなくて……。誰か使ってるのかな?
全然届かなくて、諦めて台を探そうか、司書さんを呼ぼうか悩んでたその時。
後ろから、すっと手が伸びてきて目的の本が下に降りてくる。
小声でそう返して振り返ると、爽やかな高身長のイケメン。
うわ、図書館でこんなこと本当にあるんだ、、。
と、感動しているとその高身長イケメンは、にこっと笑って行ってしまった。
まぁ、少女漫画のようなシチュエーションはあっても展開はない。そう、わかってしまう時点でわたしも、もう少女ではないんだと気づく。
とりあえず、イケメンさんにかなり癒された。ありがとう、イケメンさん。
少し元気が出た。単純だけど。
さぁ、帰って本読もう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。