第3話

ショォオオーーーーートッ!!!
2,933
2022/11/05 18:17
エンデヴァー
ショオォォーーーーートォッ!!!
この人って確か私達の父親だよね…

体からすごい火を出してるんだけど、人間っていつから炎タイプになったんだっけ…あ!これが個性か?
轟 焦凍
うるせぇ、黙れクソ親父。
あなたが起きるだろ
焦凍、子どもとは思えない口調だよ?

 まぁ……それだけこの父親を憎む気持ちはわかる。私はずっと焦凍の事を見てきたみたいだから
少し消え始めている右腕のヤケドが痛んだ気がした


あと、父親に一応言っとくと『何かあった』のは私の方ね。焦凍に聞くな

あれ?でも私はさっきまで眠ってた事になってるから、側に居る焦凍に聞いたのか?

それなら…ってならないよ?
眠っている人の近くで叫ぶな!今は起きてるけど、そもそもここは病院だから叫ぶな!
医療機器及び、寝具の近くで炎を上げるな
あなた

ハァーハァー

轟 焦凍
あなた!俺が居るから…
ウッ!可愛い…

ごめんね、ちょっと興奮しすぎただけでなんともないんだよ

それよりも手をギュッて握ってくれた…
さっきまでの父親に向けていた憎しみの目を一瞬で変えて、こっち向いてくれた笑顔が可愛いすぎる
エンデヴァー
焦凍オオオ!!
ああー!!今、癒されてたの!
ちょっと静かにしてくれないかな?
エンデヴァー
早くあなたが病院にいる理由を答えろ!
あ、そう言う事ね…

あんまり教えたくないんだけどな…仕事切り上げてきたみたいだし、医者っぽい人も来ちゃったから諦めるか……




〜数時間(ほぼ回想)〜ーーーーーーー
私達、双子は無事に(?)すくすくと育ち6才に、小学校に入学しました

そして、今日は入学間もない小学1年生で行われるイベント
個性一斉登録



学校に何人かお医者さんを呼んで、事前に親から提出された資料を元に、質問に答えたり、実際に個性を使って見せたりする。種類によっては検査をする人もいるらしいけど…


無個性の私には、まぁ関係無い事だった
『何か個性は発現しましたか?』って聞かれて終わり


一応、足のレントゲンは撮ったけど、両足とも小指の関節は2つ。個性のある型らしい

へーー。まあ記憶が戻った今から考えれば、ほとんどの皆が無個性の世界にいたから、この世界の定説には当てはまらないんだろう


とにかく、生徒1人に対して医者1人をつける事なんて出来ないので、すぐ暇になった。


焦凍は……まだまだかかりそう
モブキャラ
ねぇ、あなた!
あなた

ん、何?

登録の終わった人が増えてきた頃…

クラスのボス的な女の子に話しかけられた。周りには取り巻きの子達もいる。
モブキャラ
『何?』じゃないわよ
話があるの。ちょっとこっち来なさい!
なんか怒ってるみたいだけど、私の返した言葉の悪い点が思いつかない
焦凍みたいに無愛想じゃなく、ちゃんと相手の目を見て答えたんだけどな…

でもまあ、相手からしたら空気が読めて無かったらしく近くの階段の踊り場まで連れてこられた
モブキャラ
あんた、無個性なんだってね?
それがどうした
モブキャラ
なんで無個性みたいなあんたが
焦凍クンの近くに居れるわけ?
なるほど、そう言う事か…
焦凍とあまり顔が似てないから兄妹って気づかれて無いな

あと、近くに来てるのは焦凍からね

 でもまあ…
あなた

何で無個性だと近くに居たらダメなの?

モブキャラ
何よ!無個性のくせに口聞かないでよ!
話があるって言われて連れてこられたんだけど!?

話ってお互いの言葉のキャッチボールじゃなくて
一方的に妄言を吐かれる事だっけ……?


焦凍はイケメンだからモテるんだよなぁ
お喋りでクラスを盛り上げたりせず、物静かに私の側にいるだけなのに、人気は高い
本人はその事に気づいて無いけどね

私以外の人には壁を作ってるから、私が居なくなれば焦凍を独占できると思ってるのかもしれない
モブキャラ
焦凍クンはアタシの事が好きなの!
だから、あんたみたいな無個性が
アタシよりも焦凍クンに近づかないで!!
やっぱりか…
でも
あなた

焦凍はあなた達みたいなに平気で虐めをする人を好きにならない!

これは本当だ。

母さんをいじめる父親にいつも焦凍は反論していた

そんな焦凍がいじめっ子を好きになる訳が無い





だけど、
モブキャラ
アタシ達が悪いって言うの!?
ひどい!!
モブキャラ
焦凍クンの事
気軽に呼び捨てにしないでよ
モブキャラ
いじめられるような無個性の
あんたが悪いんでしょ!
他の子どもも何か言っていたけど、聞き取れたのはここまでだった


体に鋭い痛みが走り、体制が後ろに崩れる

増強型の個性を使われ、踊り場から階段部分に
突き落とされたと分かった瞬間、意識を失った
轟 焦凍
あなた!?!
意識を失う直前に焦凍の声が聞こえたのは多分、気のせいだ

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