先生もなんとなくで始めたらしいからルールとかは特にない。
授業中でなければお菓子は食べていいし
席だって決まってない
好きな席に座っていいがみんな何となく自分の席を決めていてほぼ固定席状態ではある
私はいつも1番左の窓際の後ろから2番目
1番前だとよく先生に見られてるイメージがあるから後ろの方が良いかなと思ったけど1番後ろも少し目立つから後ろから2番目にした
窓際にしたのは景色がよく見えるから
ふと横を見た時の空や街の風景が綺麗で
よく見える席にした
ふとした景色に風情を感じるのは
写真を撮る事が好きだからかもしれない
いつも塾にこっそりカメラを持ってきて
皆が帰ったタイミングで夕焼けを撮ったり
それがすごく楽しかったりする
先生は基本授業までは入り口に立っているから
1番乗りした教室には本当に誰もいない
パシャ
1枚撮って鞄にしまう
げっ…
入り口から聞こえてくる声
ぞっとした…
私が塾に行きたくない理由の人物がいる
私は慌ててノートを出していかにも予習してましたみたいな雰囲気を醸し出す
極力話す事を避けようと適当に短く返す
だが何か返してほしそうな彼の視線に負け
返してしまった
だったらわざわざ自分から聞かせようとしなくていいのに…と思いながら彼が理由を言うのを待つ
思わず賛同してしまいそうになった
ここで趣味が合う人がいるとは…
学校で趣味の話になった時いわゆる一軍系女子が
とか言ってるのを聞いたのでそれから隠している
きっと彼もそういうんだろうなと思っていたから少し嬉しかったりする
と同時に好きな事を好きと素直に言える彼を羨ましいなぁ…と思ってしまう
いや私もしょうもない理由なんですけど…
と思いながら
強がりを一粒溢したはずだったが
そこには本音もまじっていた
気がする…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!