この学園には、ある噂がある。
「ねぇねぇあなた、知ってる?」
授業の移動中、友達の咲良が私に問いかけた。
「何が?」
「K4だよ!!学園でいちばん悪いグループ!」
「ああ……あの、不良揃いとかいうやつ…」
K4。
私の通う学園は町一番の不良揃いの学校で、
その不良たちのトップが、
K4らしい。
また、それも顔が良いという訳もあり、噂となったのだ。
私は興味がないのだけれどもね。
キーンコーンカーンコーン……
「あ、じゃあまたあとでね!」
咲良と別れたあと、チャイムと同時に
前から背の高い男子生徒4人組が歩いてきた。
私は目にもくれずに、チャイムに焦らされ走る。
だが、その所為で
その4人組のひとりの赤髪の人に
ぶつかってしまった。
パッと上を見たら、
その人は耳に花札のようなピアスをつけている。
(かんっぜんに不良じゃない……………!!)
「ご、ごめんなさいっっ!!」
私はぶつかって落とした教科書を拾い上げて、
逃げるように去った。
その人が、赤く顔を染めていた事は
知る由もない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。