「 かつら 」 にやって来たくろ。
多分 , 春日を喰った後なんだろうな。
微かに苛立っているくろの前に , お水を置く。
そんな私を横目で見ながら , くろは口を開いた。
嘘だと思いたかったけど , いつになく冷静で
真面目な顔をするくろは疑えなくて。
私情を持ち込んで , 仕事に身が入らない…とか ,
本当に勝手すぎる。
それだけ言うと , 奥にケースを持って行ったおじさん。
そう言って , 背を向けるくろ。
…なのに , そのまま動こうとしない。
なぜだか , 一緒に帰る事になってしまった様子。
…くろの事 , 本気でよく分かんない。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!