朝、大ホールに行くと
貴)桜那. . .
やっぱり桜那は死んでいて
その死に顔はどこか悲しそうだった
でも、その日はもう1人の死体があった
貴)リ、カ. . .
摩). . .
『今日は2人、嘘つきに殺されました』
『それでは話し合ってください』
貴)摩琴. . .
摩). . .
貴)ねぇ、何か言ってよ. . .
摩)ごめん、
貴)ごめんて、まさか. . .
さっきから様子のおかしい
摩琴、2人しか残ってない今
信じたくない真実が頭に浮かんでいた
摩)嘘つきは、俺だよ
貴)ッッ、なんで. . .
摩)俺だって、こんな事. . .
貴)じゃあなんで、
摩)俺は人間じゃないんだよ
貴)うそ、でしょ. . .
摩)人を殺すために、俺は作られたんだ
摩琴が、人間じゃない. . .?
じゃあ今まで. . .
摩)元々この高校に来たのも
ここで殺さなきゃいけなかったから
そう言えば、私と仲良くなる前の
摩琴はあまり笑わないような
感情のないような人だった
貴)じゃあなんですぐに、
摩)あなたと、出会ったから. . .
貴)え、?
摩)クラスで上手くいってなくても
弱くても強く生きようとする
お前に出会ってしまったから、
摩)あなたと出会って話しているうちに
俺に知らない感情がうまれたんだ、
気付いたら俺の周りにはいろんな人がいたんだ
摩)今まで、任務を忘れて大好きな
お前らとただの高校生活を送っていたんだ
でも、神様は俺を自由にしてくれなかった
摩)この修学旅行の前に
俺の所に手紙が届いた
・・・・・・・・・・・・・・
今度の修学旅行で
任務を成功させなさい
・・・・・・・・・・・・・・
その手紙には今の状況を
作るべく色んなことが事細かに
書いてあった
摩)その手紙の最後には
これを実行しなきゃお前の大切なものを
殺す、そう書いてあったんだよ
貴)、、、
摩)やるしかなかったんだ. . .
貴)泣かないで. . .
摩)でも、あなただけは. . .
殺せないんだよ、
摩琴の目からはポロポロと
涙が流れていた
貴)摩琴、
私には、泣いてる摩琴に
何もしてあげられない. . .
摩)好きなんだ、あなたが. . .
貴)私も摩琴の事ずっと好きだった、
摩)なんで、
もっと早く伝えたなかったんだろ、(笑)
貴)そうだね、(笑)
どうして、こんな時なの. . .
2人して涙を流して
元気のない笑顔を浮かべていた
摩)ねぇ、お願い. . .俺を“殺してよ”
貴)え. . .
摩)俺にはあなたを殺せない、
殺したくないんだ、
貴)私だって、殺したくない. . .
摩)夜になれば、俺はあなたを
殺さなきゃいけないんだ. . .
貴)どうしても、殺さなきゃいけないの、?
摩)それがこのゲームのルールだよ
世界は、なんて残酷なんだろう
私は大好きな人を自らの手で
殺さないといけないなんて. . .
摩)弱くて、あなたにそんな思いさせて
ホントにごめん. . .
貴)ううん、ちゃんと終わらせるから. . .
辛かったよね. . .
ちゃんと、私が終わらせるから
まだ涙が止まらない摩琴を
抱きしめた
摩)好きだよ
貴)私も、好きだよ、
カッターを摩琴の首元にあてた
摩)大丈夫
貴)摩琴、バイバイ、
私がカッターをひいた時
摩琴は優しく微笑んだ
貴)ッッ. . .
目の前には微笑んだまま目を閉じた
摩琴の死体が倒れている
《嘘つきはいなくなりました》
貴)なんで、?
静かだった大ホールにあの機会声が
響き渡った
《残ったのは》
《“永山あなた”》
《次の嘘つきは》
《“永山あなた”です》
貴)え. . .?
次の嘘つき?どういう事. . .?
そんな事を考えてると、頭を強く殴られ
私はその場に倒れ込んだ
薄れゆく意識の中、目に映りこんだのは
貴)今日子ちゃ. . .ん、?
今)騙してごめんね
でも、次はあなたちゃんだから
その言葉を聞いた瞬間
意識が遠のいて行った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。