第18話

第十七章
31
2021/09/15 09:07
君がいなくなるなら
第十七章
椿
椿
いなくなっちゃうの?
依
はい
当然のように答えた
椿
椿
依
今までありがとう
依
椿の場合、少し時間がかかりました
依
その分、楽しい思い出が作れました
依
椿は少し冷たいところもあるけど私のわがままも素直に聞いてくれる優しい子です
依
きっと高校に入ったら友達ができますよ
依
笑顔を忘れずに
椿
椿
嫌だ
依
椿
椿
君がいなくなるなら…
椿
椿
私もいなくなりたい
依
椿
椿
一緒に連れてって
依
……
何かを考えているようだった
依
…そうしたらこれまで一緒に過ごした時間が意味がなくなってしまうじゃないですか
椿
椿
椿
椿
…でも
依
私は生きていたかった
依
ずっと友達と笑っていたかった
依
永遠と生きていたかった
依
でもそれが叶わなかったんです
依
夢が叶わないほど辛い話はありません
依
だから私はこの仕事についた
依
人間界にいられるこの仕事に
依
椿
椿
椿
…なに?
依
私にはもう力が残っていません
まるでクラスの男子が話しているような二次元っぽいことを言った
依
だから私は神様ではいられなくなります
依
この場所にいられるのもこれで最後です
依
この場所は素敵でした
依
姿が全く変わらず、人々が笑い合っていました
依
本当は離れたくありません
依
…椿?
私の名前をよんだ
椿
椿
え、
視界が曇ってきた
椿
椿
あれ、
依
そんなに私に消えて欲しくありませんか?
椿
椿
椿
椿
うん
依
素直ですね
椿
椿
私のたった1人の友達…
椿
椿
嬉しかった…
椿
椿
一緒にいて私も楽しかった…
涙が止まらない
椿
椿
だから
その瞬間、私はあいつに抱きすくめられていた
暖かい
依
泣いていいんですよ
依
辛かったら
優しい言葉だ
椿
椿
…!
でもまだ涙腺は壊れなかった
椿
椿
依…
椿
椿
好きだよ…
ずっと友達でいたかったな
依
やっと名前を呼んでくれましたね
見上げるとあいつは泣いていた
椿
椿
依
…もう、行かないと
椿
椿
依
さようなら、椿
依
ありがとう
依
大丈夫。私の記憶は徐々に消えるので
依
悲しくなんかないですよ
椿
椿
よ…り…
それからのことはあまり覚えてない

プリ小説オーディオドラマ