柳と私のコンクールの話が決まった翌日だった。
私はとんでもないものを見つけてしまう。
✳ ✳ ✳
“アイツ”が“消える”……?
“コンクール”
“消える”
“アイツ”
こんな事知らなければ良かった。
でも、まだそうと決まった訳じゃないし……
どうしよう。
でも、もし……
柳が……!
桧谷達は今教室の中にいる。
そして、私は廊下にいる。
つまり、見つかる!?
私は急いで駆け出した。
プルルルル
その時、柳のお母さんから電話がきた。
何があったかはわからない。
でも、取り合えず病院が先だ。
事情は後で聞けばいい。
私は道を歩いている大人を蹴散らす勢いで自転車で走り出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!