突然のお母さんからの電話。
柳が私に?
何を?
頭が追い付かない。
柳が、私に、臓器提供をする……?
つまり、もしそうなれば、私の右目は……!
もう1度、世界を感じることが、出来る……?
電話越しに柳のお母さんが微笑んだのがわかった。
✳ ✳ ✳
私は返事をせずに、少し微笑むと背を向けて歩き出した。
”多分藍ちゃんは、柳の目を貰うと思うんだけど、どっちを貰うか決めた?“
”決まってます。勿論__“
さっき手術直前にした会話。
勿論、そんなの聞かなくてもわかってるじゃないか__
ねぇ、柳。
私は柳が大切にしていた方を貰うことにするよ。
だから、これからは私とずっと一緒だからね?
ありがとう柳。
今もきっとどこかで私達を見守ってくれている。
__そんな気がするんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。