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第7話

恋というもの
午後の授業へ入る。


さっきのお昼のことが頭にあり授業が身に入らない。
"  泉さん! "


そう呼ぶ龍友の嬉しそうな声と幸せそうな顔。


思い出してしまう。
やだな、私ったら


人の幸せも喜べないんだよ?


人として駄目だよね。うん…
すると隣から飛んできた紙。
横を見ると珍しく玲於が黒板を見てて
クシャクシャに丸まった紙を開くと
"  気にすんな。"
その5文字がぶっきらぼうに並んでいた。
玲於なりの優しさ…かな。


伝わってきて嬉しい。
あなた

玲於、ありがとう。

小声で玲於に伝えるとコクっと頷いて夢の中へ入っていった。
はぁ、玲於が寝ないで心配されることか。


結構態度に出てるのかな…
そんなことばかり考えてやっぱ、授業なんか頭に入らない。
5時間目が終わった休み時間。
皆がざわつき始めた頃、
廊下から走ってくる音。
数原龍友
あなたあなたあなた!!
あなた

え!?

廊下側の私の机にバンと手を置く。
数原龍友
なあなあ!
目合わせてもらったで!
あなた

泉さん?

数原龍友
そう!めちゃめちゃ可愛いんやって。
あなた

…そうなんだ?
話、聞かせてよ。

ほんま!?
ありがとう!


そんな笑顔で言われたら頷くしかないよね。


私の前の席のこの椅子に座って私を見る。
数原龍友
目合わせたらな、ニコってしてくれてん。
僕思い切って手振ってみたら────
長いようで短いこの時間。


終わらないで欲しいと思う時間と早く終わって欲しいこの時間。


そばにいて欲しいのに、いて欲しくない。


私は矛盾の王様だ。
あなた

龍友、頑張ってね。
私、応援してるからさ!

数原龍友
ありがとう、泉さん今年で卒業やから
今年の間には告白するつもりやねん。
あなた

告白…?

数原龍友
もちろん、今じゃないで?
ちゃんと仲良くなってからするつもり。
あなた

うん、なら距離縮めなきゃ!

数原龍友
そこであなたに聞きたいねんけど


" 女の人って褒めてもらうと嬉しい? "


という質問。
私は嬉しい。


誰に褒められても嬉しいけど一番は龍友。


良い奴やわ、と言われると嬉しくて舞い上がる。


アホやなぁ、そう言われれば傷つく。


恋する人の心はどんな状況でも変形してしまう。


ちゃんとしたハートの形ではないものだ。
あなた

嬉しい…よ?

数原龍友
んなら、自分の特技褒められたら嬉しい?
あなた

嬉しい。

数原龍友
…よしっ、ありがとう。
あなた

…なんで?

数原龍友
泉さん、音楽好きらしいねん。
やけどいっつも1人でおるんや。
あなた

そうなんだ…?

数原龍友
やで、あのフルート。
褒めてもらう人おらへんのかなって
個人的に思ってしまってん。
あなた

なら、龍友が褒めるべきだね。

数原龍友
やろ!?やっぱ、そうやんな!
分かってる ~ 、そう指さされれば


私はいつでも分かってる。


そう答えた。


龍友の気持ちに答えてあげたいもん。


ま、自爆してるけど。
数原龍友
おっと、やべ、時間や。
あなた

あ、ほんとだ。またね?

数原龍友
まだ話してたいわぁ。
私の心臓は高く跳ね上がる。


龍友の言っている意味が私と同じならば


嬉しいんだけど…


でも、そう言われただけで私は十分幸せだ。
あなた

はいはい、またね!

数原龍友
おう!またな。
手を見えなくなるまで降り続けてくれる龍友。


はぁ、またいっそ好きが増しちゃった。


減る事はありえない。
けど、
あなた

っ…

辛い思いは好きが増すと共に


倍に増していく。


恋ってそういうもんでしょ。
私の場合、自分で傷ついて悲しむ。


自虐行為にしか思えないけどいいんだ。
このままで。


ただ、龍友のそばにいられなくなるのが怖いだけ。
佐野玲於
馬鹿だ。
そんな玲於の言葉なんか聞こえるほど私に


余裕はない。