明後日か…
文化祭。
ん?
ってことは!?
泉さんが転校する日。
もう、そんな時期!?
龍友知ってるかな、明日ってこと。
ちゃんと思ってあげられてるかな。
お互い好き同士なら連絡ぐらい取り合ってるよね。
握りしめた携帯をベッドに置いた。
私って心配性だよね…
変なことにも。
治したいな…
文化祭、毎年楽しいのに、ちょっと晴れない気持ち。
ベッドにうずくまった。
私のこと好きだったら
どっちも嫌な思いしないのにな。
神様は意地悪だ。
私はそのまま眠りに落ちていった。
.
まった、遅刻。
もう、今年入ってどんなけなの。
自分に怒る。
駅までダッシュし、改札を通るとまだ電車は来てなくて
ホッと息を整えていた時。
後ろからも慌てて駆け上がってくる高校生。
ん?
知らない人じゃ…ない。
上手く話せてる…
良かった。
真剣な声のトーンで名前を呼ばれるから
ビクッと体が震えた。
私より少し前にいる龍友。
斜め後ろから顔を眺めていた。
ええええええ!!!
もしかして、バレてる!?
うっわ、バレちゃったの!?
ちょっとまずいじゃん。
龍友、泉さんが好きだって、告白したって聞いたから
そんなの、余計に言えるわけもない。
自分が好かれてるのによく言えるよね、
待ってる
とか言えない!私なら。
伝えれる勇気なんかどこにもない。
龍友にはあって、いいな。
スッ?
馬鹿じゃない?
そんな、わ、私が、言えるわけないじゃん!!
もう、焦らせないで欲しい。
そういう龍友の気持ちは私には聞こえない。
どうしよ。
いつ伝えよう。
あっ、優しい。
私が緊張しないように解してくれてるのかぁ。
有難いけどそんなのじゃ、勇気出ない。
やっぱ、文化祭かなぁ…
いつがいいんだろ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!