龍友side
最近、あなたの様子がおかしい。
不意に怒り出すし。
寂しそうにする。
あいつのテンションがわからへん。
今だって、変なこと言い出すやろ?
夢でも見とるんか。
僕も自分の教室に戻ってカバンを取りに行く。
その時
また、綺麗な音色。
一人で舞い上がった。
ココ最近、あなたと一緒に行くことは少なくなった。
あなたが断ってくるんや。
勝手に向かっていく足。
いつの間にか止められなくなってん。
こんなにも一途になる僕が居てちょっと怖い。
初めてやから。
屋上のドアを開けるとやっぱ、泉さんがフルートを吹いていた。
僕に気づいた泉さんはフルートを吹くのをやめて膝に置く。
" 龍友くん "
はぁ、嬉しいわぁ。
僕は泉さんの前に腰を下ろした。
ちょっとだけ泉さんの顔が明るくなった気がした。
それは、完璧あなたの事や。
あいつの自慢の長い綺麗な髪の毛。
恋 = 青春 は違うのか。
そう言うとニコニコした泉さん。
あかん、めちゃめちゃ可愛ええ。
泉さんが楽器を片付けている間
屋上から街を見渡していた。
見慣れていた街だったがこうやって
上から見渡したのは何気に初めて。
もうそろそろ日が落ちる時間。
大きな荷物を持って僕を待つ泉さん。
僕より小さい背…
あなたよりは大きいかなぁ…
男の理想のまんまやわ。
泉さん。
ボンッ…
キュッ…
キュッ…
かな?
照れる泉ちゃん。
でも、龍友って呼ばれるのはあなただけでいい。
そんな変な気持ちが湧き上がってきて
なんて、嘘ついた。
幸せ
なのか。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。