そして、その次の日もその次の日も龍友の相談に乗った。
なれない。
普通に辛い思いは当然ある。
嬉しそうな顔するんだもん…
止める気はなかったけどもっと止められない。
チャイムが鳴る前に、教室に戻っていく。
その時も、見えなくなるまで振り続けてくれた。
私、舞と回ろうかな…
っても、舞彼氏さんと回るかなぁ。
舞の彼氏さんはね、年下。
武知海青くん。
1年生で凄く人気で筋肉がすごいの。
凄い1年生が入学してきたぞって話題になった。
舞からのアプローチで付き合うことになったんだって。
…
私もアプローチしたら振り向いて貰えるのかな。
何度も何度も舞に聞いた。
なら、どうしようかな。
あ、玲於
って呼ぼうと思ったけど
まだ、来てない。
はぁ、まった、寝坊したんだ。
" キーンコーンカーンコーン "
チャイムが鳴る前に必ず入ってくる玲於が来ない。
珍しい。
玲於が休むなんて。
ちょっと寂しい気持ちで一日が始まった。
.
移動教室の時。
舞に言われて見た運動場。
みんなと笑いあってボールを追いかける。
ぽんと私の肩を掴む。
運動場を見るのを終えたその時。
目の前の人がハンカチを落とした。
私はすぐさま拾いに行って、前の人の肩を叩いた。
あ…
あの人。
はぁ、こんな形で関わってしまうとは。
綺麗すぎる…
こんなの勝ち目ない。
好きになる理由は分かってしまう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!