帰宅。
食べ物、喉通る気にならないし。
食べたらむせそう。
一目散に自分の部屋に行く。
ベッドにダイブしてため息を零した。
終わっちゃったなぁ、なんて考える。
楽しかった。
隣にいた日々はずっと忘れないし宝物。
例え、龍友が隣にいなくても大丈夫だよって言えるように
今から頑張らなきゃ…
思えば思うほどそれは無理で
失恋ってこういうものかと実感した。
.
長い長い夏休みが開けて9月に入った。
普通なら嬉しいはずの新学期が憂鬱で仕方がない。
1日の花火大会だって私から断わった。
こんな気持ちじゃ龍友に申し訳ないもん。
そうだ、舞に伝えるの忘れてた。
もう、いいんだよって。
私の話なんか聞かず向こうにいる龍友に話しかけた。
近づくと龍友と目が合う。
名前呼ばれるだけでどくどく言ってる。
貴方ですよ。
私の元気奪い取ったの。
返して欲しいな、なんて言えることも無く
私らしくない。
いつもなら喜んで返事するのに。
やっぱ、ダメだな。
手を振って中に入っていく龍友。
やばい、もっと嫌われた。
泣くなんて…
今、心に染みる声。
玲於に手を引っ張られ連れてかれる。
相変わらずの毒舌。
着いたのは屋上。
1時間目から始業式なのに。
間に合わないよ!?
そうだ、私、龍友以外で泣いた覚えがここ最近ない。
呆れた様子の玲於。
私に近づいてくると思いきや
私の腕を引っ張って気づけば玲於の腕の中に。
玲於は私を笑顔にしてくれてる。
嬉しい。
すると、玲於は私のほっぺたを掴んで玲於も笑った。
命令。
暴言のマシンガンだな、玲於。
でも、何だか心は少しだけ温まった気がした。
離された手は下に降りて
玲於はフェンスに手をかけた。
私も玲於の隣に行ってフェンスに手をかける。
ツンとこめかみ付近を押された。
玲於と話してたら気が楽になった。
だんだん赤くなる玲於の耳と頬。
それに気づいてたよ、なんか言わない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!