集合場所。
中庭の時計の下。
待つだけなのにドキドキしてソワソワする。
龍友、いつ来るのかな…って。
無意識に髪の毛を直したり、顔をチェックしたりしちゃう。
早く来てくれないかな!
すると、とんとんと後ろから肩を叩かれ、
振り向くと
私の目の前で行われているのは現実か?
鼓動ははやくなる。
龍友が恥ずかしそうに私に手を出している。
そうえばさっき…
って、なんで知ってるの!?
ん!と強く出してきた。
手を繋ぐなんて恥ずかしすぎる。
しかも、みんながいるところだし…
龍友は私の手を握って歩き出した。
やばい、
手、繋いでる!!!!
死にそう…
手汗すごくなりそう…!
手から私の鼓動伝わらないかな…
後ろから見える龍友の耳はちょっと赤くなっている。
目の前にあった屋台。
今は、隼くんが代わりにやってるけど
何か手こずってるよう。
繋がれた右手は離されて龍友が走っていく。
あ、隼くんと交代したのかな?
並ぶ人に謝ってるのかペコペコ頭を下げる。
優しいなぁ…
そういうところ。
見惚れてた。
そしたら、龍友が私を呼ぶ。
たこ焼きの屋台の所に行くと
はい、と渡されたたこ焼き。
いつもは4つなのに5つ入ってた。
特別に作ってくれたたこ焼きは出来たてホカホカで
すごく美味しかった。
私のために作ってくれたと考えると嬉しくてたまらない。
あっ、そうだ…
今日、伝えなきゃ。
好きだって。
.
告白…
好きだって…
伝えなきゃ…
暗くなってみんなが花火を見るために集まった人集りの中。
龍友の顔は暗くなるけどやっぱ、かっこいいなって。
言えっ…私。
その瞬間、ピューッと音を立てて花火が上がる。
言っちゃった…
膝を抱えて伏せる。
絶対顔赤くなってるもん。
嫌っ…
え?
私を大きく包み込む何かが、
それは、龍友だった。
それって、どういうこと?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!