龍友side
僕のすっごい技術のおかげで僕らの出し物は
右肩上がりの売れ行き。
今、僕は休憩。
椅子に座って隣にあった水を飲む。
鉄板の熱さは体を弱らせる。
あっ、今頃、あの二人一緒かなぁ、
って思った時。
玲於が渡り廊下を一人で寂しそうに歩いとるで
口の横に両手を添えて玲於を呼ぶ。
そしたらいつも通りいやぁな顔して僕を睨むんや。
『 な ん す か 』
と口パクで言えばまた悪くなる機嫌。
仕方ないから玲於の近くに来て話す。
あなたがおるはずやろ?
寂しそうに下を向いて話す。
こりゃ、なんかあったわ。
頭を撫でてやるとすぐさま払い除けた。
瞬発力がいいこと。
玲於から話を聞くと相当辛かったようで
トーンがどんどん落ちていくのがわかる。
ここは、僕、素直に喜びたいねんけど…
こんな状況やと喜べんしなぁ…
なんでアドバイスしてんねんやろ。
おっかし。
僕。
ったく、、素直じゃないなぁ。
玲於のツルツルなおでこにデコピンしたった。
と言いながらも顔を触る。
ほんま僕、アホや。
何言うてんやろ。
おいっ、なんでフルネームなん!?
しかも、馬鹿?
何言うてんねん!
去り際に ありがとう って呟いてんの知ってんで!
かっこいいやんって思った瞬間返せっ!
玲於は走って戻った。
っは ~ 、そろそろ僕の番やなぁ。
ほら。
たこ焼き焼けば楽しみ待ってるもんな
…?
楽しみ?
何が楽しみ…?
って、あなたと?
ふと浮かぶあなたの顔。
その瞬間、心臓と全身の毛穴がゾワッとして
何故か鼓動が早くなる。
僕はメンさんのところに駆け寄って
このポテト何言うてんやろ?
あほちゃうか。
早く!
ほら、どんどん早くなってる!!
僕そろそろ死ぬって
隼の指は向こうの方の屋台で
2人が歩いとる姿。
今見たら謎の不整脈は治ってて
病気早く治すになどうすればいいんやろ。
たこ焼きを転がしながらずっと考えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!