無料ケータイ小説ならプリ小説 byGMO

第25話

行かないで
泉さんの寂しそうな背中を見つけた私。
あなた

泉さん!

声を出していた。
成瀬 泉
はい…?
当然だ。


不思議がられている。
あなた

あのっ…

言ってしまっていいのだろうか。


たまたま聞こえちゃって…なんて言い訳か…


ああ、どうしよ。
呼び止めといて悪いな…
成瀬 泉
あなたって、龍友くんと仲いい子のあなたちゃん?
あなた

え?

成瀬 泉
数原龍友くん。
あなた

ああ!そうです!はい!

成瀬 泉
やっぱ、可愛いわ、言ってた通り!
突然元気になって綺麗な笑顔を見せる。
あなた

そんなこと言ってたんですか?

成瀬 泉
そうよ、龍友くんたら
あなたがまた転けかけた ~ とか
あなたちゃんの話ばっかりするのよ?
あなた

龍友…が…?

成瀬 泉
そうよ。
何その嬉しい情報。


めちゃめちゃ舞い上がってる…


心臓バクバク!!


って!!


こんな私のためじゃない!
あなた

あの、、泉さん。

成瀬 泉
ん?
あなた

転校するって本当ですか?

言ってしまったぁ…


泉さんの表情が少しだけ曇った気がした。
成瀬 泉
ふふっ、聞こえちゃった?
あなた

…はい、ごめんなさい!

成瀬 泉
いいのよ、聞こえちゃったなら仕方ないわ。
謝らないで、そう言って笑う。


やばい、めちゃめちゃ優しい。


これは、惚れちゃう!
成瀬 泉
親の都合で何度か
転勤してて慣れっこなんだけど…
あなた

はい。

成瀬 泉
この頃転校したくないって思い始めててね。
それって、龍友…がいるから…じゃないの…?
成瀬 泉
ずっと転校してて友達もろくに出来なくて
転校し続けて大切な人を作らない方がいいのかもしれないって分かったの。
泣きそうな声で私に話してくれる。


でも、すっごく辛い。


それは、龍友のことを話していると分かったから。


泉さんも龍友が気になっているんだ。
成瀬 泉
大切な人作るだけでこんなにも気持ちが変わっちゃうなんて人間の心も不思議よね。
薄らと浮べる涙。
あなた

それって、龍友ですか?

成瀬 泉
え?
あなた

泉さんの言う大切な人って…龍友ですか?

何言ってんだろ…


私。


聞いたって何も無いのに。


そうだよ


そう答えが返ってきたら落ち込むだけ。


違うよ


そう来ても龍友がっ、って落ち込む。


どう答えが来ても私にはデメリットでしかないのに。
成瀬 泉
さぁ、どうだろ。笑
あなた

え?

成瀬 泉
私も大切な人を簡単に言うほど軽くないわ。
微笑む泉さん。


大人だ。


私より全然余裕のある笑顔。
成瀬 泉
じゃ私、いろいろしなきゃだから。
ごめんね、あなたちゃん。
話聞いてくれてありがとう。
あなた

いえ!また聞かせてください!

成瀬 泉
ふふっ、いつでも待ってるね
あえてどことは言わない泉さん。


私がいつもいる所を知ってるかのよう。


多分、知られてるだろうな。
靴を履いて出ていく泉さんを目で追う。


はぁ、行かないで欲しいな…
龍友、悲しむよ…?


でも、親の都合なら仕方ないか…
玄関に腰を下ろして膝を抱える。
ちょっとずつ視界が悪くなってくる。


楽しそうに話す龍友は見られなくなるのかな。


辛かったけど楽しかった。


そんな日々、もう来ないの?
佐野玲於
何やってんの。
私の頭を掴む。
あなた

玲於…

佐野玲於
泣いてるし、
あなた

泣いてない…

佐野玲於
ったく、ほら。
無地のタオルを私に差し出す玲於。


こういうとこか
あなた

ありがと…

佐野玲於
ヨシ怒ってたぞ。
(  ヨシ = 担任 : 吉田  )
あなた

…まじ。

佐野玲於
突然出て行ったんだ。
そりゃ怒るさ。
あなた

二学期来なくていい…

いろんな意味で。
佐野玲於
来なきゃアイツに会えねぇよ?
来たら龍友が悲しむ。
このことは言わない方がいいのかも


玲於は私の横に座る。
佐野玲於
何があったの。
あなた

なんで

佐野玲於
ん?
あなた

玲於はなんでいつも私の言いたいことが分かるの?

悲しんでる時。


落ち込んでる時。


いっつも玲於に助けられてる。
佐野玲於
さぁ、なんでだろうね。
ちょっと遠くを見る玲於の視線に


意味があるなんて全く思ってもなかった。