江華side
「俺と死ね。」
私はふと、この言葉を思い出す。
あのハゲが、いわゆる"プロポーズ"の言葉として、私に言ってくれた言葉だ。
あいつが教えてくれた惑星・地球ではプロポーズの際、『結婚してください』と言うのが無難らしい。照れ屋であるハゲらしい言葉だ、と今思えば少しだけ笑える。
「かしゃ?(かあさん?)」
「···ああ、悪いな、神威。どうした?」
どうやら私は生後1歳と3ヶ月になる、息子の神威を抱っこしながら考え事をしてたらしい。すまなかったな···神威···。
「としゃは?(とうさんは?)」
「ハ···父さんなら、もうすぐ帰ってくるよ。母さんと一緒に待ってようか。」
「ごは!(ごはん!)」
「え、もう?ご飯はまだ早い···かな···。」
そう。今はまだ午後4時。夕飯は早すぎる。というか、神威は30分前におやつのパンを5個は食べたと思うんだが···。
ハゲに似て、通常の夜兎よりかなり大食いな神威は、すぐご飯を欲しがって泣くから、かなりの手間がかかる···。
そして、今日は神威だけでなく、私も早くハゲに帰ってきてほしい。見せたいものがあるから_______________。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。