岩本side
心地良い風が部屋に入ってくる陽気な昼過ぎ。
俺はベッドに転がり雲ひとつない空をボーッと眺める。
たまにはこんな時間があってもいいかもな
なんて思っていると、ピロンッとスマホが鳴った。
スマホの画面には“ふっか”の文字。
それに加えてグループメールも動いていた。
グループメール?ふっかから個人で連絡?
一旦グループメールを開くと
ラウールがグループメールの発起人だった。
内容は…っと。…え⁉︎
状況を把握するのに時間がかかったが、
内容はまさかの阿部とあなたの熱愛報道について。
見た感じ変装は完璧なのに
2人でいるところを撮られてしまっている。
これはまずい。
続いて本当の彼氏であるふっかからのメールを開いた。
あー、そういうことか。
もしかしたらバイト先まで特定されて、
記者たちに絡まれる可能性があるのか。
今後の展開を理解した俺は、
と返信をして財布とスマホを持ち部屋から出た。
リビングではみんなも同様にテンパってて、
って言っただけなのに、
とゾロゾロ後ろをついてくる。
そのとき、
舘さんの冷静さに助けられた俺は、
車に乗ってエンジンをかける。
それと同時に次はラウールからメールが。
車庫のシャッターを上げる前にメールを開いた。
本当にうちの末っ子はできた子だよ。
この短時間でふっか、あなた、そして俺に
ちゃんと連絡とってるとか頼もしいなぁ。
…ってそんなこと思ってる場合じゃない!
早くあなたを迎えに行かなきゃ!
そう思い、シャッターを上げるボタンを押した瞬間、
そこには地獄の絵が広がっていた。
大きくて分厚いカメラ、
パシャパシャという音と共に目に突き刺さる光、
“阿部さんの熱愛報道は本当ですか⁉︎”
“ファンの気持ちはお考えなんですか⁉︎”
“これからどこへ行かれるんですか⁉︎”
とマイクを持って問い詰めてくるスーツの人たち。
こんな状況だとあなたを迎えに行くことは不可能に近い。
これはまずい…どうしよう…
そう思っていた瞬間、急に記者たちが黙った。
俺はフロント越しに顔を上げると…
今までSnow Manを守ってきた真打のお出ましだ。
♡×160
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。