その場は沈黙。
ただ、頭の整理が出来ない状態だった。
阿部「次に説明するのは長尾くんかな」
長尾「真実を教えてください」
阿部「君のお父さんもお母さんももう居ない。死んだんだ」
長尾「えっ……」
西畑「それってほんまですか?」
阿部「あぁ……長尾くんの両親は西畑くんを殺そうとした。だから始末したんだ」
長尾「俺の親が会長を」
阿部「信じられないと思うけど……消す代わりに長尾くんだけはしっかりと生活できるようしてきた」
西畑「……阿部さんなりの優しさだったんだ」
阿部「本当に申し訳なかった。ご両親が長尾くんにしようとしていた事を知った時は……いや、なんでもない」
長尾「待ってください。全部教えてください。」
阿部「……君の両親は長尾くんを売りさばこうとしたんだ。だから、長尾くんを買った。じゃなかったらきっと長尾くんはもう居なかったと思ったから」
長尾「……そんな事があったんですね」
阿部「でも、俺のした事は変わらない。本当に申し訳なかった。」
阿部先生は頭をさげた。
長尾くんは近寄り、阿部先生の目をみた。
長尾「頭をあげてください。守っていただきありがとうございます」
阿部「あとの人生は自由に生きてくれればいいから」
西畑「……俺は阿部さんについて来ます」
阿部「西畑くん……ごめん。俺は1人になりたいんだ」
目黒「阿部ちゃん、阿部ちゃんには周りに人がいるじゃん」
阿部「最後に話すのはあなたの事」
私は息を飲んだ。
そこに何かある気がしたから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!