阿部ちゃん先生は引いた。
『阿部ちゃん先生、待って』
阿部「阿部ちゃん先生……嬉しかったよ。そう呼んでくれるの」
『さっきの話を聞いても私の憧れは阿部ちゃん先生だよ。お願い死なないで』
西畑「俺もずっとついてくって決めたから。お願いします。その銃をおろしてください」
長尾「俺からもお願いします。ここに入れるのも阿部先生のおかげって知ったからには止める権利があります」
道枝「お姉ちゃんは戻ってきません。でもこれ以上あっちの世界に行く人はいらないと思います」
目黒「阿部ちゃん……今ならやり直せるよ。また友達になってさ、やり直そうよ。ほら」
蓮は阿部ちゃん先生に手を伸ばした。
阿部「……ごめん。もう生きてるのが辛いんだ」
一滴の涙を流した。
阿部「またね、みんな。バイバイ」
阿部ちゃん先生に銃の玉が当たった。
血を流して、その場に倒れた。
西畑「阿部さん!」
会長は駆け寄った。
西畑「阿部さん、ねぇ起きてくださいよ。ねぇ阿部さん!」
長尾は会長の背中をさすった。
会長の涙は止まらなかった。
西畑「どうして……俺はついてくって決めたのに」
私は立ち尽くすしかなかった。
私の目には涙が流れていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!