第11話

ジングルベルが聞こえない/ちょこぺろ
196
2022/10/08 10:34
叫び出したい気持ちを抑えて、私は大きなクリスマスツリーの下で、首を縦に振る他なかった。優しい目をした彼は、残酷に、私に、さよならを告げるのだった。

よりにもよって、
世の中が浮ついてる今日という日に、

泣き出したい気持ちを必死に抑えて、涙を飲み込んで、私は突然訪れたさよならに、
驚くほど冷静に処理しすぎてしまったのだ。
あなた

ちょこぺろ、なんで今日なの

ちょこぺろ
ちょこぺろ
……ごめん
あなた

ごめんって言葉が聞きたいんじゃなくて

これじゃあ毎年ちょこぺろに振られたことを思い出してしまう。

ちょこぺろが私を好きじゃなくなったことを、思い出してしまう。

最悪の思い出を、彼は私の思い出に刻み込んで、去ってしまうのだ。

まさか周りのカップルも、すぐそばにいるカップルが別れてるなんて思いもしないだろう。
ちょこぺろ
ちょこぺろ
俺から別れよって、言うこと無いとおもってたんだけどな
あなた

私だって、ちょこぺろがずっと好きでいてくれると思ってたんだよ

ずっとなんて言葉は嘘なんだ、いつかは別れる時は来る。

それは恋人同士が終わる時とかじゃなくて、死ぬ時とか、今回は、終わる時だけど。

どうせだったら死ぬ時が良かったな、なんて馬鹿げたことを考えていたもう叶うことなんかないけどね。
あなた

綺麗だね

ちょこぺろ
ちょこぺろ
え?
あなた

クリスマスツリー

ちょこぺろと見るのはこれが最後になるけど、せめて、せめて綺麗な思い出も、私の中には残ってほしかった。

サンタさんも酷い人だ。大人になった子供には、こんな風に、現実ばかりプレゼントしてくる。
ちょこぺろ
ちょこぺろ
うん、綺麗だ……ねぇ
あなた

なに、ちょこぺろ

ちょこぺろ
ちょこぺろ
好きだったよ
瞳から溢れてしまった涙には気づかないふりをした。

せっかくおめかししてきたのに。

ちょこぺろが悩みながら選んでくれたピアスも「よく分かんないけど、その色好きだよ」
と言ってくれたリップもつけてきたのに。

全部、真っ白になってしまった。
あなた

私は、今も好きだよ

クリスマスの夜に、私の幸せが散る。

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