第20話

時を超えた出会い
1,744
2022/11/05 19:53
〜ダンデ視点〜
ハロンタウン
嵐のような強い風を感じ、空を見上げる
ダンデ
あなたくん……
ルギアに乗って来たあなたが視認できた

予想通りと言うか、伝説のポケモンに乗った子は他に居ないと思う


ちょうど真上まで来た時、まずは彼女のパートナーポケモンであるルカリオがルギアから飛び降り、俺の隣に着地。
次いであなたもその白い翼から飛び降りて来て、ルカリオにお姫様抱っこで受け止められていた。
ダンデ
…ナイス着地だな
あなた
ありがとうございます
そんな事より、弟さんとその友達2人がまどろみの森に入ったって本当ですか?
ダンデ
少し、目を離した間に
君に連絡した後、森の入り口に来たら、この通り柵が壊れていたから間違い無いだろう
目の前には立ち入り禁止を示す為の柵が壊され、森までの道が開いている
しかし、その視界は霧で白く森の中の様子が全く分からない
あなた
行きます。
リザードンとダンデさんも……止めても来るつもりですよね
ダンデ
もちろんだ!
あなた
…いざと言う時は置いて先に進みます
その時は勝手に動いて迷子にならないように、あとイーブイと行動してください。守ってくれるので
…俺が守られる立場で話が進むんだよな……
あなた
行きますよ
ダンデ
ああ!
〜まどろみの森〜
森の中は予想していたよりも、ずっと視界が悪かった。
手を伸ばせば触れられそうな距離にいるあなたの姿すらシルエットがどうにか見えるぐらいだ

彼女の姿を追い、リザードンの尻尾の炎の明かりで足元を照らし、道を間違えそうになったらあなたのイーブイが教えてくれる事でどうにか進む事が出来る
先を行くあなたとルカリオは胸に手を当てていた
目は閉じているが彼女達には森の様子が視えているのだろう
五感に左右されない波動使い…

見えるものに囚われない彼女達が羨ましい
あなた
ダンデさん、この先は分かれ道になってます
付いて来てくださいね
ダンデ
わかったぜ
足を踏み入れて気付いた。
視界が悪くて分かりづらいが俺はここに来た事がある

あなたと出逢った場所だ
【過去回想】



ガラルの王者になってから数年、無敵のチャンピオンと皆から言われ始めた頃

俺はとても久しぶりに実家に帰った

髪を切る暇も無いぐらいに忙しいのに、どんなに皆の期待に応えても面白くない。
仕事より、もっとポケモン達と向き合い、育成する時間が欲しい。
そんな事ばかり考えて、キバナとのバトル以外を楽しめ無くなった時期にハロンへ帰省した。

俺がチャンピオンになってからソニアに会うのは初めてだった。ジムチャレンジを一緒にしてきたソニアと話せば何か変わる、迷子になってもいつも正しい道へ案内してくれたから今回もきっと…

だけど、すぐにはソニアと会えなかった。

近くにある森の中へ博士の制止も聞かずに入って行ったらしい。
俺も昔からあの森には入るなと言われていたからソニアが危険だとすぐに分かった。この辺にはいない、高いレベルな野生のポケモンもいるかもしれないと思い、リザードンに乗って森の中へ突っ込んで行く。

しかし、少し進んだ所で飛行は限界だと分かった。多くの木が生えているため、大きな羽を広げて飛び回る事はできない。
仕方なくリザードンから降りて歩き出そうとした時、前後左右がわからないほど、白い霧に覆われていることに気付いた。

何時間経っただろう。地方一周するジムチャレンジやチャンピオンの立ち仕事でも平気だった足が痛むほど、森を走り回って見つけたソニアはポケモンに襲われていた。
すぐにリザードンと追い払って、駆け寄ると俺を見て安心したようにソニアは意識を手放してしまった。
いつの間にか野生のポケモン達も仲間を連れて俺達を取り囲んでいる。リザードンの体力が尽きる前にどうにかしなければ。

ポケモン達とどうにかバトルで対抗している中、あるポケモンがリザードンではなく、俺達を攻撃しようとしてきた。
俺はできる限りソニアを庇うようにして、攻撃の痛みを堪えてようとギュッと目をつぶった。

が、感じたのは、緑の光と共に現れた少女達とセレビィ。
次に顔ギリギリを通り抜ける波動弾の風圧と、俺達の安否を確認するの声。

あなたとの出会いだった。

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