出会ったばかりの人にそんなこと言うのは無神経だろうか……
でも止まらなかった。
涙がどんどん溢れ出す。
何かを考える前にここから抜け出そう。
意を決して私は背中に乗った。
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数十分後
そう言って一つの家の前で止まる。
顔を上げたら…
びっくりするくらい大きな家に唖然とした。
ここに1人で住むとかどんなお金持ちなんだろ…
そこではっと思いとどまった。
放り出されたからほとんど何も持ってきていないのだ。
持っているものと言われたら
携帯電話と今着ている服、それからコートに入っていたお金と
涼介との思い出の品だけ。
NONさん…小瀧望さんの家は綺麗で暖かかった。
普通の家庭に生まれたかったなぁ…と思う。
これくらい綺麗でお母さんも優しくて…
私はお母さんに虐待受けていたこと。
お姉ちゃんの事、お父さんが単身赴任の事。全部言った。
それと…涼介のことも
もうアメリカに行って当分戻れないだろう。
あの後Instagram確認してみると明らかに男の人だって証明できる写真があった。
ちゃんと確認しなかった私が悪い。本当に。
この日を境に
私達は仮初の家族になりました。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。