第5話

仮初−かりそめ−1
837
2019/01/04 12:07
春元
春元
助けてください…


出会ったばかりの人にそんなこと言うのは無神経だろうか……
でも止まらなかった。






涙がどんどん溢れ出す。

小瀧望
小瀧望
とりあえず…背中に乗ってください。
今のままじゃ思うように歩けないでしょうから。





何かを考える前にここから抜け出そう。

意を決して私は背中に乗った。
小瀧望
小瀧望
じゃあ行きますか






ーーーーーーー
数十分後



小瀧望
小瀧望
…着きましたよ


そう言って一つの家の前で止まる。
顔を上げたら…
春元
春元
家…大きいですね…

びっくりするくらい大きな家に唖然とした。



ここに1人で住むとかどんなお金持ちなんだろ…
小瀧望
小瀧望
とりあえず中に入るよ



そこではっと思いとどまった。
春元
春元
あ…あの…私なにも持ってきていなくて…


放り出されたからほとんど何も持ってきていないのだ。





持っているものと言われたら
携帯電話と今着ている服、それからコートに入っていたお金と
涼介との思い出の品だけ。
小瀧望
小瀧望
うーん…ま、大丈夫だよ。
家にはお姉ちゃんの使ってた物とか多いから。
それ使えばいいよ。
春元
春元
あ…ありがとうございます。




NONさん…小瀧望さんの家は綺麗で暖かかった。









普通の家庭に生まれたかったなぁ…と思う。

これくらい綺麗でお母さんも優しくて…
小瀧望
小瀧望
あなたちゃん…ちょっとお話し出来る?
春元
春元
あ…はい。


私はお母さんに虐待受けていたこと。
お姉ちゃんの事、お父さんが単身赴任の事。全部言った。





それと…涼介のことも
もうアメリカに行って当分戻れないだろう。
春元
春元
それくらいです。
小瀧望
小瀧望
そっか…大変だったな…
春元
春元
小瀧望
小瀧望
じゃあ次俺な

小瀧望
大学生
関西出身
ここは祖父母から受け継いだ家。
今住んでいるのは俺と猫だけ。
小瀧望
小瀧望
あなたちゃんには手を出すつもりないから
安心してね。婚約者さんもいるんだし。
春元
春元
ありがとうございます。
よかった…NONさんがいい人で…
小瀧望
小瀧望
男でびっくりしたでしょ?
ごめんね。
春元
春元
いえいえ。
ちゃんと確認しなかった私も悪くて…
あの後Instagram確認してみると明らかに男の人だって証明できる写真があった。

ちゃんと確認しなかった私が悪い。本当に。
小瀧望
小瀧望
じゃあさ、とりあえず俺らは今から家族って事で。
親御さんにはなんか…言ってないか…
春元
春元
はい。向こうは姉の家に行ってると思ってると思います。
小瀧望
小瀧望
…そっか。落ち着いたら連絡はしときなね。
春元
春元
はい。
小瀧望
小瀧望
あーてかごめんな。
俺関西出身で関西弁出るんだわ。
だから、これから関西弁使ってもええ?
春元
春元
はい。というかもう出ちゃってますよw
小瀧望
小瀧望
ほんまやw
春元
春元
これからよろしくお願いします
小瀧さん☺️
小瀧望
小瀧望
堅苦しいからのんちゃんでええよ。

よろしくねあなたちゃん😁


この日を境に



私達は仮初の家族になりました。

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