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第3話

【ヘルカとドルマ①】参京院教育学園の優等生と怠け者
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2024/04/04 22:32
ヘルカ
ヘルカ
すぴ……すぴ……
ドルマ
ドルマ
ヘルカちゃん、バス来たわよー
ドルマはさっきまで読んでいた本を閉じ、寝ているヘルカの肩を持って無理矢理バスに乗せる。
ヘルカ
ヘルカ
んぐごっ……は!バス!
ヘルカ
ヘルカ
………………ぐー……
ドルマ
ドルマ
(また寝るのね……)
ドルマ
ドルマ
……
2人が参京院教育学園に転校してきてから1ヶ月が経とうとしている。
この1ヶ月のうちに、ドルマは学年トップの優等生としての地位を確立したが、ヘルカは寝てばかりの怠け者と扱われている。
ドルマ
ドルマ
(……こうやって今も、あたしの肩に頭を乗せて寝てる)
たしかにヘルカは、テストでも毎回全教科必ず50点だ。
授業中はほとんど寝ているし、ドルマ以外の友達もきっといない。
生徒
あ、あれヘルカさんじゃん
生徒
あ〜ほんとだ、また寝てる
生徒
ドルマさんはあんなに優秀なのに……なんだか落差がひどいよね
ドルマ
ドルマ
(……違う!)
ドルマ
ドルマ
(ヘルカちゃんは、本当はすごく頭がいいの!)
ドルマ
ドルマ
(だって、全教科いつも50点で揃えるなんて、頭が良くないとできないでしょ!?)
ドルマ
ドルマ
(授業中寝ていても、ヘルカちゃんはそれだけのことができる……あたしなんかより、ずっとできるのに……!)
ドルマ
ドルマ
(みんなみんな、バカにしてばっか……!)
ドルマは拳を強く握りしめた。
学校に着いても、ヘルカはこんな感じだ。
でも──下駄箱の辺りででちょっと目が覚めたのか、ヘルカはドルマにこう言った。
ヘルカ
ヘルカ
ねぇドルマちゃん………
ドルマ
ドルマ
あぁ、起きた?何?
ヘルカ
ヘルカ
私は、あなたの事が大好きですよ
ドルマ
ドルマ
……うん
ヘルカ
ヘルカ
私時々、変な夢を見てしまうんです……
ヘルカ
ヘルカ
私は土の中に眠っていて……地の下から、ドルマを見ている……そんな夢を
ドルマ
ドルマ
そうなんだ……
ヘルカ
ヘルカ
もしかしたら、その世界では私は死んでしまっているのかもしれませんね
ヘルカ
ヘルカ
でも……もしドルマのための死なら、それは本望ですから
ドルマ
ドルマ
……死なないでよ?
ヘルカ
ヘルカ
ふふっ、わかってます
ヘルカ
ヘルカ
あくまでも、そんな選択肢を迫られたら…です
1番はドルマちゃんと末永く幸せに暮らすことですから
ドルマ
ドルマ
ありがと、ヘルカ……って
ヘルカ
ヘルカ
すぴーすぴー
ドルマ
ドルマ
また寝てる……
ドルマ
ドルマ
(あたしたちは今、すごく平和な世界で暮らしている)
ドルマ
ドルマ
(なんだか、そんな自分に違和感を覚えてしまう……)
 


ヘルカ
ヘルカ
ドルマちゃん……
ヘルカ
ヘルカ
(きっと、ドルマは憶えていないのでしょう)
ヘルカ
ヘルカ
(……チベットでのこと)
ヘルカ
ヘルカ
(私が、ラクシャーシーとして戦い……そして、処刑されたこと……)
ヘルカ
ヘルカ
私は、憶えています
ヘルカ
ヘルカ
だから……今度こそ、ドルマちゃんと一緒に幸せに暮らしたいのです
ヘルカ
ヘルカ
せっかく、こんな平和な日常を手に入れたのですから
ヘルカ
ヘルカ
(だけどもし、またあの頃みたいなことがあったら、その時は……)
 
ヘルカ
ヘルカ
私が、命を捧げてドルマを守ります
 









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