第12話

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2018/02/26 03:28

ーー


朝が来た。

わたしのそばに豪華な食事が運ばれてきた。部屋も与えられた。

けれど、わたしは口を付けなかった。

ただ、縁側から見える景色を眺めた。

男がやってきて言った。

「夜の相手だけすれば、贅沢な暮らしを与えてやる。それで十分だろ。はい、と言え。そうしたら、手縄も解いてやる」

「…………」

「おい、聞いているのか?」

「…………」

「……勝手にしろ。どちらにせよ、夜になったら……わかってるな」

男は離れていった。

わたしは、ただ虚ろな視線を彷徨わせた。

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