第19話

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2018/09/25 10:42
そこにいたのは、蒼一さんだった。



……なぜ、彼がいるの?



訳がわからなかった。



と、わたしを押さえつけていた男が立ち上がった。そして、手に持つ刀を抜き放つ。



「なんだ、お前は」


「ぼくですか? べつに何者でもないですけど」


「そんなわけあるまいっ」



男が刀を構える。

月の光を浴びた刃が、ギラリと光った。



けれど、蒼一さんは微動だにしない。

腰に刀をさしたまま、ただ男を見ていた。



「刀を抜かなくていいのか? 勝ち目はないぞ?」


「お好きにどうぞ」


「こいつ……」



男がギリリと歯をくいしばる。

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