前の話
一覧へ
次の話

第32話

32
15,057
2018/10/04 11:43
朝、目が覚めると、蒼一さんがわたしを見つめていた。


キョトンとするわたし。


「もしかして、昨日のこと覚えてないの?」


「え、なんこことですか?」


「……もういい」


「ぇ、え?」


昨日、わたしは蒼一さんになにかしただろうか?

思い出そうとしたけれど、だめだった。
蒼一さんはなにも教えてくれなかった。

わたしを見るたび、ため息をついた。



なにかしたのかな。


わけがわからなかった。


それでも、気になることがある。


蒼一さんの首もとにできた赤い斑点。


まるで誰かに付けられたような跡。


いつ、だれが、付けたのか。


わたしは、知らない。
「ねぇ」


「なんですか?」


「きみって案外大胆だよね」


「なんのことですか?」




なんのことだろう。

まぁ、いいか。



だって、こうやって蒼一さんとお話しができている。


それだけで、しあわせだから。




[終]

プリ小説オーディオドラマ