この日私は
とんでもない快感に襲われていた
さかのぼる事 2時間前ー⋯
私は普通にいつも通り
席について
友達と喋っていた
ほんとにいつも通り
なはずだった
ガラッ!
いきなり大きな音を立てて開く教室のドア
クラス全員がその方向に視線をやった
静まりかえる教室
その静寂を破ったのは
向かいの塔 3-3
男子バスケットボール部に所属
高身長 抜群のスタイル ずば抜けた運動神経
整いすぎた顔立ち
常に学年トップのイケメン
璃葉原 麗だった
ザワッ
急に辺りがザワつき始める
え、ちょっとまってよ
だって私あの人と喋ったことないー⋯
そういって麗(?)とかいう奴が私の手を引っぱる
私なんかお構い無しに
私の鞄を勝手にとって
私の手を取り
ずんずんと前に進んでいく
ようやく話を聞いてくれる頃には
とっくに学校なんか見えなくなっていた
聞きたかったことが次から次へと口から溢れてくる
私の心の中を見据えるような目で見られる
冷静な態度で私の質問を答える
は⋯え⋯?
こいついまなんて⋯?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!