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第1話

桜と妖精と
440
2019/01/31 06:20
おとぎばなしに出てくるような生き物って本当にいると思う?
たとえば、月夜にきれいな歌声を響かせる人魚姫。
たとえば、なんでも願い事を三つ叶えてくれる魔人。
たとえば、略奪の、あるいは心優しい鬼。
たとえば、魔法で姿を変えられた野獣やカエル。
天使、魔女、オオカミ男、吸血鬼……。
そして、妖精――――。

 
 
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今日から高校二年生!
といっても既に始業式は終わっていて、今はその帰り道。
いろんな意味でドキドキだったクラス替えは見事大勝利を収めた。
一番仲良しの紫苑ちゃんと一緒だったし、それに片思い中の常盤くんとも同じクラス……。
あなた

えへへ、幸先いいぞ~?

弾む足取りで桜並木の下を歩いていると、
あなた

わっ、風すごっ……! ……いたっ! うー、何か目に入ったぁ……

急に吹いた突風で桜の花びらと一緒に飛んできた砂が目に入ってしまった。
痛む目をこすりながら道を歩いていると、
ドサッ
桜の舞う幻想的ともいえる景色の中で、あきらかに花びらとは違う、なにかの落ちた音が聞こえた。
興味本位で音の聞こえた方に近づいていく。
ひときわ大きな桜の木の下。舞い落ちるピンク色の花弁と一緒に空から落ちてきたのは、
あなた

これは……?

――――手のひらサイズの可愛らしい〝妖精〟だった。

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