次の日の放課後、俺は澪奈と文化行事委員会に出ていた。
澪奈はどんどんいろんな役に手を挙げる。
最後ならいろんなことをやりたい。
そういうふうに俺は見えた。
今は2人しかいない教室で飾り作りをしてる。
澪奈は鼻歌を歌いながら、どんどん飾りの輪を繋げていっている。
俺はとにかく気が逸れてしょうがない。
よく家に澪奈は遊びに来て部屋で2人になるのも多いはずなのに、教室だと何処か気分が違った。
いきなり"2人"という単語を出され、俺は少し動揺した。
恋バナとか言い出し、さらに動揺する俺。
え、待って?いきなり?あの澪奈が?
顔が赤くなるのを感じ、俺は顔を手で隠す。
すると、その手を澪奈が退けてきた。
隠しきれない俺はあっさりと澪奈にバレる。
嫌味じゃなく素直に応援してくれた。
応援って…澪奈なんだけどな…。
そんなことを思いながら、糊で輪を繋げる。
ニッっと笑いながら、澪奈が答える。
秘密、か……ってことはいる?え、誰?
心の声をそのまま声に出す。
すると、澪奈がいきなり立ち上がり、俺に4枚の紙を見せてきた。
遊園地の話で2人で盛り上がる。
輪の飾りを予定していた長さの2倍のものを、作っていたことに気が付き、そこでやめて、俺達は家へと帰った…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。