第15話

教室
309
2018/11/16 13:10
次の日の放課後、俺は澪奈と文化行事委員会に出ていた。
澪奈はどんどんいろんな役に手を挙げる。


最後ならいろんなことをやりたい。


そういうふうに俺は見えた。
今は2人しかいない教室で飾り作りをしてる。
澪奈は鼻歌を歌いながら、どんどん飾りの輪を繋げていっている。
俺はとにかく気が逸れてしょうがない。
よく家に澪奈は遊びに来て部屋で2人になるのも多いはずなのに、教室だと何処か気分が違った。
桜井 紫苑
…澪奈。
柊 澪奈
ん〜?
桜井 紫苑
最近どう?
柊 澪奈
どうって?
桜井 紫苑
ほら、何かあった出来事とかいろいろ…
柊 澪奈
そうだねぇ…バスケと空手で勝てたことが嬉しかったかな?でも、いきなりどうしたの?
桜井 紫苑
何となく?澪奈、最近大会前の練習とかで忙しかったからこうして話すことが少ないなーって。
柊 澪奈
あー…まぁ、学校だと日向とか涼雅がいるし、2人になることは少ないもんね。
桜井 紫苑
そ、そうそう。
いきなり"2人"という単語を出され、俺は少し動揺した。
柊 澪奈
ね、ね、紫苑。
桜井 紫苑
どうした?
柊 澪奈
恋バナしよ!
桜井 紫苑
…………はぁ!?
恋バナとか言い出し、さらに動揺する俺。
え、待って?いきなり?あの澪奈が?
桜井 紫苑
ちょっ、い、いきなりそんなこと言い出すとかどうしたんだ?熱でもあるんじゃ…。
柊 澪奈
いやいや、熱は無いから。私達ももう高校生だし?何か…紫苑は好きな人でもいるのかなぁ。って!
桜井 紫苑
マジで勘弁して……。
顔が赤くなるのを感じ、俺は顔を手で隠す。
すると、その手を澪奈が退けてきた。
桜井 紫苑
うわぁぁっ!!!
柊 澪奈
わっ!ちょっ、やめてよ〜!!私まで驚いちゃう!てか、その反応だと好きな人いるんだ〜!
隠しきれない俺はあっさりと澪奈にバレる。
桜井 紫苑
まぁ、うん…。
柊 澪奈
だれだれ?
桜井 紫苑
無理無理無理無理。
柊 澪奈
う、うん…分かった。その恋、頑張ってね!応援してる!
嫌味じゃなく素直に応援してくれた。
応援って…澪奈なんだけどな…。
そんなことを思いながら、糊で輪を繋げる。
桜井 紫苑
澪奈は?
柊 澪奈
私?私の好きな人は〜…秘密!
ニッっと笑いながら、澪奈が答える。
秘密、か……ってことはいる?え、誰?
桜井 紫苑
え、誰?
心の声をそのまま声に出す。
柊 澪奈
秘密で〜す!
桜井 紫苑
え〜…
すると、澪奈がいきなり立ち上がり、俺に4枚の紙を見せてきた。
柊 澪奈
ジャジャーン!!!
桜井 紫苑
ん?……え、これって。
柊 澪奈
そうなの!私が前から行ってみたかった遊園地の招待券!
桜井 紫苑
それ、どうしたんだ?
柊 澪奈
気合いで当てた!良かったら、今週の日曜日にでも4人で行かない?
桜井 紫苑
行く!!
柊 澪奈
そうこなくっちゃ!じゃ、日曜は遊園地に行こー!
遊園地の話で2人で盛り上がる。
輪の飾りを予定していた長さの2倍のものを、作っていたことに気が付き、そこでやめて、俺達は家へと帰った…。

プリ小説オーディオドラマ