第13話

失う
337
2018/10/18 11:48
武政 涼雅
紫苑、どうした?顔色があまり
良くないけど…
柊 澪奈
もしかして、こういう系は無理
だった?
桜井 紫苑
え?大丈夫大丈夫。
柊 澪奈
そっかそっか…もし、体調が
悪いならちゃんと言ってね?
桜井 紫苑
ああ…
澪奈こそ体調が悪いの言ってくれよ……。
そう俺は心の中でポツリと呟いた。
その後、都市伝説以外にも文化祭についてや
面白話などをして盛り上がる。
暁月 日向
おっ、そろそろ帰った方がいい
時間じゃない?
武政 涼雅
あー、そうだな…。じゃ、続き
は明日話そうぜ。
桜井 紫苑
ああ。
柊 澪奈
そうだね!
そう言って、解散。
俺と澪奈の家は結構近いから、途中まで一緒
に帰っていた。すると…
柊 澪奈
あ!ナツだ!
野良猫が俺の足に顔を擦りつけていた。
桜井 紫苑
ナツ、夜の散歩か?
ひょいと持ち上げると、ナツは「ニャー」と
いつものように鳴く。
柊 澪奈
いいなぁ、紫苑は懐かれて。
桜井 紫苑
澪奈にもまぁまぁ懐いてると、
思うぞ。
柊 澪奈
そう?
桜井 紫苑
そう。あ…
地面に飛び降りたナツは俺達に背を向け、
トコトコと歩き出す。
柊 澪奈
…ねぇ、紫苑。
桜井 紫苑
ん?
柊 澪奈
ナツの目の色って何色だっけ?
桜井 紫苑
ナツは確か…金色だったろ?
柊 澪奈
金色…
桜井 紫苑
そ、そうだけど…。
ナツの瞳は金色だったはず。
だって、今持ち上げた時も目は金だったし…
桜井 紫苑
いきなりどうした?
柊 澪奈
いや、ナツの目が金じゃなくて
水色に見えたんだよね〜多分、
光加減か何か?
自分の見間違いだと思ったのか少し恥ずかし
そうな声を出す澪奈。
俺は歩いているナツに視線を移した。
ナツはこちらを全く気にせずに、ずっと歩き
続けている。


歩く先にあるのは道路。
桜井 紫苑
……。
『大切なものを失います』
この文章が頭をよぎる。
俺はナツを大切なものに選んだ…。
じゃあ、まさか…!!
何となく先が読めた俺はナツを追いかける。
俺が追いかけていることに気付いたナツは、
道路一直線に走り出した。
桜井 紫苑
ナツ!!!
俺の叫びも虚しく、ナツは躊躇なく、道路に飛び出した。
キイィィィッ〜〜〜!!!!!
夜の街に響いたブレーキ音。
「ニ"ャァ…!」とナツの苦しそうな声が耳に届いた。
ナツを轢いた車は気がつくともういない。
俺はフラフラと轢かれたナツに近付く。
桜井 紫苑
ナ、ツ……
いつものナツとは思えないくらい酷くて…
地面は血に染まり、体からは骨が飛び出て
いた。
失敗して生きている大切なものをえらぶと死
ってことか?そんなの…そんなの……
桜井 紫苑
酷すぎるだろ…
柊 澪奈
し、おんっ…
澪奈の鼻声が聞こえた。きっと泣いている。
命はこんな簡単に奪われる。
それが例え、目の前であったとしても。
澪奈もあと2ヶ月もしたら死ぬ。
もしかしたら、俺の目の前で簡単に…
そんなのは絶対にさせねーよ…。
ごめん、ナツ。俺、最低なことしたよな…。
俺は110番にかけ、警官が来たことを確認
すると澪奈の手を引き、家へと帰った…

プリ小説オーディオドラマ