いつだ、いつ校内に襲ってくる…
とにかくそれしか考えられない。
すると…
ピンポンパンポーン♪
[ただいま校内に初代校長先生がお見えになりました。]
との、放送。
先生は「教室で待機しろ。」とだけ言うと、
教室からいなくなった。
初代校長先生は既に存在しない。
つまり、不審者が侵入してきたときに生徒に
教えるための方法だ。
俺はそう呟くと、席を立つ。
澪奈の声が背後から聞こえたがドアを開け、
俺は廊下に飛び出すと殺人犯を探す。
暫く走ったが見つからない。
放送もないから先生も探しているんだ。
クソっ!何処に隠れやがった…!!
窓から見える隣の校舎。
少し先に建て替え工事があるから今は誰も
いない。
巻き込みたくなくて思わず怒鳴ってしまう。
俺の怒鳴り声に澪奈は肩を揺らして、縮こ
まってしまった。
そう言うと、澪奈はパァーっと笑顔になる。
トイレなんて全く行く気がない。
けど、澪奈にそう言われたら行くしかない。
そう思い、俺はぼんやりとトイレに座って、
前を見つめていた。
2、3分が経ちトイレを出ると、澪奈が待って
いてくれた。
少し警戒しながら澪奈と教室に向かう。
そう言い、澪奈がいたずらっ子っぽく笑う。
その笑顔に俺の顔は熱くなった気がした。
”俺は怒られるよりも澪奈と一緒にいる時間
の方がずっと大切だから。”
そう言おうと思った時…
俺と澪奈の目の前に現れたのは男性。
髪はボサっとして手に持っていたのは…
……血がこびりついた包丁。
俺は澪奈を庇うように後ろに移動させた。
来たか…どちらが殺されてもGAME OVER。
澪奈を逃がしてからコイツを…倒す。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。