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第1話

風に揺れる桜
鈴崎家

『ピンポーン』
山城さんが鈴崎家の屋敷のチャイムを鳴らす。私の緊張はピークを迎えていた。探偵になって初めて出来る探偵らしい仕事。それは嬉しくもあり、怖くもあった。氷上社長はといえば変わらず氷のよう冷たい目がチャイムだけを見つめている。
「はい。」
若い女性らしき人の声がインターホンから聞こえてきた。
「私、氷上探偵事務所から来ました、山城蓮と申します。」
「探偵の方でいらっしゃいますか?一体どんな御用件で?」
「実は鈴崎凛音様にご依頼を受けまして…訪ねさせていただいたしだいでございます。」
山城さんは丁寧な口調でその女性に説明していた。
「…そうでしたか。ただ今お嬢様に確認致しますので少々お待ちください。」
そう言われ数分待っていると
「確認が取れました。門を開けますのでそのままお進みください。」
女性が言い終わらないうちに大きく重そうな門が開き始めた。
「行くぞ。」
私達は山城さんの後ろをついて行く。氷上社長だけがまるで1人で来たかのように前をズンズン歩いていた。家に近づくにつれてその家がどれほど大きいのかを実感した。家の玄関であろう扉の前まで来ると急にドアが開いた。
「わざわざ遠いところをありがとうございました。私はメイドの宮下 晴恵と申します。お嬢様が探偵に依頼されたことを聞いておりませんでしたもので。申し訳ありませんでした。」
「いえいえ。私どもも急にお伺いしてしまい申し訳ありませんでした。」
「お嬢様は部屋に呼んでほしいとのことでしたので2階のお嬢様のお部屋までご案内させていただきます。」
メイドの宮下晴恵は優しそうな笑顔を私達に向け、鈴崎凛音の部屋まで案内してくれた。
鈴崎凛音

「急にいらっしゃるとは思っていなかったもので。晴恵さんに言うのもすっかり忘れていました。」
「いえいえ。こちらもご連絡なしにすみません。」
鈴崎凛音はモデルもしているというだけあって綺麗でフワフワしたような印象だった。私達は部屋に入って左側のソファに座るよう諭され、鈴崎凛音はその向かい側のソファに腰掛けた。
「実は…今回氷上探偵事務所に依頼したことは父や兄には話していないんです。」
「なんでっすか?親子の仲悪いんすか?」
「向日葵くん!!!」
向日葵が空気の読めないことを言ったせいで華門さんの怒声が飛んだ。華門さんが怒るのも当然だ。
「ふふっ。」
「ふふっ?」
しかし鈴崎凛音は笑っていた。向日葵や華門さんのやり取りを見ながら怒るでも悲しむでもなく笑っている。
「…すみません。なんだか面白くて。別に親子の仲が悪いわけではないんです。なんというか、父は今回の事件について真相を知っているような…そんな気がするんです。」
「ならば聞いてみればいいのでは?」
仲が悪いわけではないのなら真相について自分の父に尋ねてみるべきだ。わざわざ氷上探偵事務所に依頼する必要はない。
「何か言いにくい理由があるの?」
この家に入って1度も言葉を発していなかった氷上社長が急に口を開いた。
「言いにくいというか、言ってはならないような雰囲気があるみたいなんです。だからその理由も氷上さんには調べて頂きたくて。今回の件を父に話していないのはそのためです。それと…」
1度話すのをやめ、鈴崎凛音は自分の後ろの壁を見た。
「今回の事件は1番に兄が疑われていて、兄は今はちょっとした反抗期なんですけど自分の母を殺すような人ではありません。だから兄の無実を証明してほしいんです!」

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猫田 茶々
猫田 茶々
時間があれば投稿していきたいと思います☺️
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