第8話

6話
626
2018/12/30 12:45
ガラガラドアを開ける
岩﨑大昇
あなた。
行こっか。
あなた

うん。

今まではこんな距離楽勝だったのに、

すごく長い距離に感じる。

大昇は私に歩幅を合わせてくれる。

なんでそんなに優しいの?

もう二度と春がこない私は

あなたに恋しちゃいけないのに。

好きになっちゃダメって気付いたら、

もう好きなんだって。

岩﨑大昇
綺麗だね。
あなた

うん。

岩﨑大昇
あの、さ…
あなた

ん?

岩﨑大昇
好き。
あなた

何が?

岩﨑大昇
あなたが。
あなた

え?

岩﨑大昇
ごめんね。
気にしないで。
俺がどれだけ大好きって言ったって、

その返事が思ってたのとは違っても、

その一言だけで嫌いになれやしない。

だってあなたが大好きだから。
あなた

はいっ!!

岩﨑大昇
え?
あなた

好き…

岩﨑大昇
????
あなた

大昇が、好き…

岩﨑大昇
ホント?
あなた

嘘じゃないよ…

大昇が後ろから抱きしめてくる。

好きだよ。

ズルいよ。好きになっちゃうじゃん…
岩﨑大昇
俺の彼女になってくれますか?
俺はそっと目を閉じた。  

大好きな人の声が、

今、

聞こえるから。
あなた

はいっ…泣

俺はあなたをさらに抱きしめた。

俺の肩に生温いものが垂れてくる。
岩﨑大昇
泣いてる、の…?
あなた

大昇もだし、…

岩﨑大昇
え?うそ!
知らない間に泣いていた。

嬉しい。

泣いてるのに。
あなた

私がいなくなっても、最初の夜だけ泣いてね…

岩﨑大昇
え…
あなた

もうすぐ行かなきゃ行けないんだって…

岩﨑大昇
??
一瞬なんのことを話しているのか分からなかった。

だけどすぐに全てを悟った。
岩﨑大昇
そんなこと言うなよ…
あなた

怖いよ…
死にたくない…

岩﨑大昇
最期まで一緒だから。
あなた

うん…

岩﨑大昇
好きだよ。
ずっと。
あなた

私も。

そう言ってあなたはニコッと笑った。

あなたのくしゃってなる目尻が、あどけなさを少し残していた。

でも今のあなたは、すっかり大人になって、どんなことにも負けてなかった。

そんなあなたが大好きです。

もう少し、神様が許すまで、

そばにいさせてください。

プリ小説オーディオドラマ