いつも通りあなたと帰っていると
クリスマスの飾り付けの準備をしているのが目に入った。
毎年イルミネーションがきれいで、
ここはお気に入りの場所。
今年はあなたと行きたいなぁなんて思う。
不意打ちの笑顔はずるいよ。
距離が縮まってきてから呼び捨ても慣れてきて、
まるで昔から一緒にいるような
そんな仲になっていた。
イルミネーションがを見るときに告白しようって決めた。
龍我に言ったら良いと思うよ!大賛成!って言われたけど
アイツのことだからよく分かってないだろうな笑
そう言ってあなたは泣き出してしまった。
俺は何もできずにただ黙って見ていることしかできなかった。
でも無意識にあなたを抱いていた。
キミの涙の理由を知りたいから。
少しだけでもいいから
あなたが抱えている悩みを
消してあげたいって
思うように
なったんだ。
ウソ…だろ…
あなたは黙って下を見ているだけ。
信じられない。
というか、信じたくない。
自分にこれが嘘だった、って言うことを
言い聞かせようって思っても
理想と現実は違う。
いつもは楽しいはずの帰り道が
今日は違った。
でも決めた。
あなたに告白するって。
そして最後まで
絶対に守るって。
あなたは曖昧な返事をしたけれど
強い子だった。
どんなことにも負けていなかった。
俺だって強がって言ってみたけど
まだ信じられない。
龍我にも迷惑をかけたくないから
2人だけの秘密にした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!